2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of automobile shock absorbing member by made of high strength glass fiber and in-situ polymerizable thermoplastic resin
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18K04637
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 義男 日本大学, 理工学部, 教授 (30184047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 紀夫 日本大学, 生産工学部, 教授 (70582518)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自動車衝撃吸収部材 / ガラス繊維強化プラスチック / ハイサイクル成形 / 衝撃吸収特性 / 動的応答解析 / クラッシュボックス / 損傷制御設計 / 現場重合型熱可塑性樹脂複合材 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の自動車構造部材では軽量高強度なCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を衝撃吸収部材として用いるための検討が重ねられてきた。本研究では,強化繊維のコスト低減のために汎用ガラス繊維を用いたE/EPOXY 製クラッシュボックス(以下E-GERP と記す)を大量生産可能なフィラメントワインディング(FW)法で成形し,落錘衝撃試験を行った。そして,汎用ガラス繊維を用いたE-GFRP 円筒殻の繊度(Tex)を変更し4種類の試験体のエネルギー吸収特性を比較した。また,有限要素法数値解析(汎用コード;LS-DYNAを使用)を用いてE-GFRP 数値解析モデルの動的応答解析を行い,初期破壊荷重の立ち上りの適性化について検討した。 本年度はFW(フィラメントワインディング)成形法を用いたE-GFRPクラッシュボックスの衝撃試験と2種類の数値解析モデルから算定された荷重変位線図について比較検討を行い、次の主要な結論を得た。(1)FW法で製作したE-GFRPクラッシュボックスの衝撃吸収特性と破壊過程、破壊様相について検証し、適切な強化繊維配向角と繊度を有する試験体を確認することができた。(2)衝撃試験結果から、適切な破壊用治具を用いればGFRP試験体でもCFRPに匹敵する衝撃吸収特性を引き出すことが確認された。(3)強化繊維の積層構成では、45/88の二層構造から成るFW試験体の衝撃吸収特性が高いことが判明した。(4)繊度ではD-Type(2220Tex)の繊度の試験体がクラッシュボックスの設計要件に近いエネルギー吸収特性を有する可能性を示した。(4)繊度の違いは初期破壊ならびにその後の破壊の起点となるため、破断伸びを活かした破壊を誘発させることに繋げられる可能性がある。(5)E-GFRP試験体の動的応答解析により、試験体端部にテーパ加工を施すことによる優位性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は自動車車体に適用可能なFRP衝撃吸収部材を設計開発するために下記の5項目について検討をすすめる計画であった。①高強度衝撃吸収複合材に用いる現場重合型熱可塑性樹脂の選定[材料設計技術]、②高強度衝撃吸収複合材に用いる高強度ガラス繊維基材と積層構成の最適化[材料設計技術]、③GFRTP高強度衝撃吸収部材の成形方法および最適成形条件の確立[成形技術]、④GFRTP高強度衝撃吸収部材の動的特性評価方法の確立[動的特性評価技術]、⑤GFRTP高強度衝撃吸収部材の動的応答解析モデルの確立と破壊パラメーターの決定[解析手法確立技術] 2018年度は、項目①について現場重合型熱可塑性エポキシ樹脂を用いたGFRTP部材をFW法によって成形し、強度試験によって最適硬化条件を検討した。ボイド率などでまだ改善の余地はあるが、適切な硬化条件について一定の成果が得られた。また、項目②について繊度の異なる高強度ガラス繊維基材を用いて積層構成を変えたFRTPを成形し、圧縮試験と落錘衝撃試験を通じて引張強度、衝撃吸収特性や試験片の破壊過程・様相について検討した。この結果、金属製クラッシュボックスに対して遜色ない衝撃吸収量を有する45/88や60/88の積層構成や、適切な破壊過程を誘発する繊度があることが判明し、材料設計についての指針を得ることができた。さらに項目④と⑤については、GFRTP衝撃吸収部材の静的・動的試験からFEM解析用パラメーターの導出や破壊則の決定を行い、汎用コードLS-DYNAを用いて部材レベルでの動的応答解析を行った。この結果より実験結果との誤差はあるものの、定性的に一致した数値計算結果を得ることができ、併せて試験体前端部に初期破壊を誘発するためのテーパ加工を施すことで設計要件を全て満足する特性を引き出せる可能性を示唆することができた。2019年度は更なる解析精度向上を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は自動車車体に適用可能なFRP衝撃吸収部材を設計開発するために下記の5項目について検討をすすめる計画である。①高強度衝撃吸収複合材に用いる現場重合型熱可塑性樹脂の選定[材料設計技術]、②高強度衝撃吸収複合材に用いる高強度ガラス繊維基材と積層構成の最適化[材料設計技術]、③GFRTP高強度衝撃吸収部材の成形方法および最適成形条件の確立[成形技術]、④GFRTP高強度衝撃吸収部材の動的特性評価方法の確立[動的特性評価技術]、⑤GFRTP高強度衝撃吸収部材の動的応答解析モデルの確立と破壊パラメーターの決定[解析手法確立技術] 2018年度は、前面衝突に対応するクラッシュボックスについての項目①、②、④、⑤について一定の成果を得ることができたが、側面衝突に対応するインパクトビームについての成果が得られておらず、2019年はこの点についての設計開発を進める計画である。インパクトビームについては従来の研究においてCFRPとアルミ合金のハイブリット部材が検討されているが、GFRTPによる一体成型部材による開発例は見られないため、FW法のような大量生産可能な成形法による一体成型の部材についての検討を進める。具体的には角型や異形角型FRPパイプを検討対象として成形法の確立を検討する。これに併せて、項目①に対しては、現場重合型PA6を母材としたFRPの成形加工についての検証を進める計画である。項目②については多層積層の可能性の検討、項目③については試験体や端部のテーパ加工や破壊過程制御治具の影響などについて落錘衝撃試験による検証を行う計画である。さらに項目④と⑤については、数値解析精度の向上を図るため、各種材料定数の詳細な測定(各種材料試験)を実施すると共に試験体の物理モデルに関して層間剥離のモデル化や破壊条件の見直しを進め、FS線図や荷重時刻歴応答の定量的な一致を目指す計画である。
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Research Products
(6 results)