2018 Fiscal Year Research-status Report
A basic study on the effect of mental workload and personality on alertness under semi-automated driving
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18K04638
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石橋 基範 日本大学, 生産工学部, 教授 (50739034)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自動運転 / 覚醒水準 / パーソナリティ / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 実験研究: レベル2の自動運転下で、性格(パーソナリティ)と精神的負荷の相互の影響が反応時間の変化にどのように影響するかを、ドライビング・シミュレータを用いた高速道路追従走行実験(N=14)で検討した。自動運転中、視覚刺激への選択反応課題を課す「負荷小」条件と、選択反応課題に加えて、車内での会話状況を模擬した質問タスクを課す「負荷大」条件を設定した。パーソナリティには、向性(内向性-外向性)およびLocus of Control(行動統制の意識が自分の内部か外部か,LoC)を用いた。その結果、負荷小では「外的統制」群が、負荷大では「外的統制」群および「内向性」群でパフォーマンスが低下している傾向が見られた。また、脳波からは、「外的統制」群で課題への努力が徐々に疎かになり心的緊張が軽減したと考えられる傾向が見られた。計画時はパーソナリティとして向性に着目していたが、本年度、準自動運転下ではLoCも複合的に影響する可能性が分かった。これまで研究代表者らは自動運転レベル3での運転交代に要する時間とLoCの関係を指摘していたが、今回も自動運転下ではLoCの影響が相応にある可能性が示され、知見をより強固にできたと考える。 (2) 調査研究: 国際会議IEA2018に参加し、自動運転のヒューマン・ファクタ研究の取り組みを調査した。その結果、実路・実車での調査・実験手法、車載カメラ・路側カメラから得た映像情報やインタビュー等の「人間の実態を素直に表現した」定性データも活用した定量化・定性モデル化手法等の知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の計画は以下の通りである。 a) 向性が覚醒水準の時間推移に及ぼす影響の明確化: 現有のドライビング・シミュレータ(DS)を活用して実験を行う。高速道路の交通量の多寡で監視タスクの精神的負荷を設定する。先行研究で精神的負荷をコントロールできることを確認済みの、カーナビ操作や会話等の状況を模擬した二次タスクを組み合わせる。覚醒水準の生理指標には脳波α波周波数を使用し、向性・精神的負荷を要因とした実験を実施する。 b) 生理的な覚醒水準低下に伴うエラー発生の特徴の明確化: 覚醒水準の低下に伴う、反応時間の遅れ量やばらつきと向性の関係について特徴を明らかにする。反応時間は、DS運転中に別途、運転シーンの画面上に、視覚の反応要求刺激を提示して計測する。そのため、現有DS改造による機能強化を行う。実験はa)と共用できるようにする。 研究実績の概要で記載した通り、現有DSで視覚刺激を提示できるように機能強化を行い、N=14で実験を実施した。この実験を通して、計画時に想定していた向性に加えてLocus of Controlの影響も明らかにできた。以上より、計画通りにおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前記のサブテーマa)について、仮説では、低負荷では外向性は覚醒水準が急低下すること、高負荷では内向性は覚醒水準が緩やかに低下していくことが考えられる。このような脳波の結果と、反応時間の解析結果の総合化を行う。仮説通りに行かなかった場合、精神的負荷の設定方法が原因と思われるため、負荷の調整等の対策を講じたり、現実場面でまず問題になる低負荷側(覚醒水準の低下を誘発しやすい条件)に着目した検討を進める。 サブテーマb)については、誤反応(見逃しを含む)の特徴を検討し、脳波の結果と総合考察を行う。研究代表者は運転場面を想定したときに精神的負担による周辺視見逃し反応の増加や視野狭小化の様相を明らかにしており、その知見等を活用した解釈を進める。
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Causes of Carryover |
30年度はドライビング・シミュレータ(DS)機能強化に物品費を充てる計画であったが、機能実装方法の見直し等によってその費用を節約することができた。そこで、節約分を使って内装部品をDSのコクピット周りに設置する等の改善を行い、運転視界を現実のものにより近づける工夫を施す計画である。
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