2018 Fiscal Year Research-status Report
集団歩行者の確率的行動予測モデルに基づく危険度評価
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18K04639
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高梨 宏之 日本大学, 工学部, 准教授 (30398333)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 確率的予測 / 予防安全 / 歩行者 / 危険度指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当初の研究計画のうち,主として(1-1)単独歩行者の障害物回避行動計測とモデル化,(1-2)複数歩行者の障害物回避行動計測とモデル化,(1-3)ヒヤリハットデータを用いた歩行者行動の解析,を実施した.以下に,それぞれの概要を述べる. (1-1)単独歩行者の障害物回避行動計測:単独歩行者に対して,対向してくる歩行者や自転車を障害物としたときの行動を計測した.それらのデータに基づき,障害物速度と回避行動開始距離の関係を調べ,歩行者が障害物回避行動を開始するときの基準に関する知見を得た.また,回避開始から障害物とのすれ違いまでの角度変化をモデル化し,障害物速度に対する角度変化の違いを検討した. (1-2)複数歩行者の障害物回避行動計測:現実的な場面を想定し,2人,3人,5人の集団が,障害物(本実験では,路肩の駐車車両)を回避する際の行動を計測した.集団を一つの塊として捉えたときに,その形状変化についての検討を行った.本年度は,最も簡単な四角形で集団の形状変化を検討したが,次年度以降はこの形状を変えて検討を進める. (1-3)ヒヤリハットデータを用いた歩行者行動の解析:(1-1)(1-2)で実施しているモデル化と並行し,その検証用として,単独歩行者・集団歩行者の障害物回避行動場面をヒヤリハットデータベースから抽出する作業を進めた.構築したモデルの検証のため,研究開始以前から蓄積してきた場面のように,できる限り定量的に情報を読取る作業を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において,初年度は主として,(1-1)単独歩行者の障害物回避行動計測,(1-2)複数歩行者の障害物回避行動計測,(1-3)ヒヤリハットデータを用いた歩行者行動の解析,を実施予定としており,順調に進めた. 単独歩行者に関しては移動障害物回避時の行動をモデル化するまで進めたが,集団歩行者に関しては,静止障害物の回避行動に関する検討にとどまり,モデル化には至っておらず,この点は計画よりやや遅れた.ただし,集団歩行者の回避行動パターンの分類とその特徴検討を初年度中に着手しており,全体的には概ね予定どおりである. (1-3)ヒヤリハットデータを用いた歩行者行動の解析に関しては,モデルの検証に使用できる場面の抽出を進め,各場面から,できる限り定量的に情報を読み取った.研究開始以前に蓄積した成果とあわせて,今後の検証に利用する.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実施内容において,ほぼ予定通りの結果が得られたので,2年度目も当初計画どおりに進める予定である.2年度目は,特に集団歩行者の行動パターン解析とモデル化に注力する. 行動パターン解析は,集団を塊として捉えたときの形状変化と,個々の行動解析の両面からアプローチする予定である. モデル化に関しては,単独歩行者のモデル化を参考にしながら,集団歩行者特有の特徴を捉えたモデル化を進める予定である.また,必要に応じて集団歩行者での歩行実験も再度行う予定である. ヒヤリハットデータを用いた歩行者の行動解析に関しては,2年度目も継続して実施する.
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Research Products
(1 results)