2018 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of carbon monoxide concentration in the facility during the fire using simulation
Project/Area Number |
18K04648
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
本間 正勝 科学警察研究所, 法科学第二部, 室長 (90356220)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 火災 / シミュレーション / 一酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年における、建物施設の防耐火性能の向上、法医学の一酸化炭素中毒死の判定技術の向上、火災知覚・避難行動能力が低下した高齢者の増加などにより、火災に伴う一酸化炭素中毒死の割合が増加してきている。そのため、一酸化炭素中毒により死に至った経緯を明らかにする必要性が高まっているが、一酸化炭素は無色・無臭のため、一般にその存在を確認・把握するのは困難である。加えて、火災鎮火後の現場調査時には、火災時に大量に発生した一酸化炭素は残存していない。そこで本研究では、火災シミュレーションを活用することにより、一酸化炭素濃度の分布状況を施設内において広域的に可視化し、検証可能とすることを目的とする。 本研究初年度である平成30年度は、まず火源として用いるガス燃焼装置を構築・整備し、ルームカロリーメータを用いて検証することで一定の発熱速度にて燃焼する火源を再現することを可能とした。次いで、開口部を設けた箱形容器を作成し、容器内に火源用ガス燃焼設置し、火源の大きさや開口部の大きさを変えることにより換気条件を変えた実大規模の燃焼実験を複数回行った。これら実験により、燃焼実験中の一酸化炭素濃度、酸素濃度、二酸化炭素濃度等をガス濃度計を用いて計測し、火源の発熱速度や換気条件が異なる場合におけるデータ収集を行った。 これら実験で得られた各種計測データをもとに、火災時における一酸化炭素濃度の生成モデル構築に必要なパラメーターの要因抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
箱形容器を用いて火源の大きさや換気条件を変えた実大規模実験は、複数回行うことができ、条件が異なる種々の場合における一酸化炭素等の生成状況を再現することができ、おおむね順調に研究を進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
箱形容器を用いて火源の大きさや換気条件を変えた実大規模実験については、昨年度行った実験結果をベースとして、一酸化炭素の生成状況が大きく変化する条件を究明するための追加実験を行う予定である。これら実大規模実験では、研究協力者の萩原隆男、市川俊和、仲川政宏の協力のもと実施する予定である。 また、これら実験で得られた実測データを用いて、まずは既存の火災シミュレーションで一酸化炭素の生成状況を再現し、既存モデルでのシミュレーション再現性を検証する予定である。さらに、この検証からシミュレーションで再現し得ない問題点を明らかにし、実験値と新たな一酸化炭素濃度生成モデルによる計算値とを比較検証する試行錯誤法にて、既存モデルにはない新たなモデル構築を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験機材である火源用ガス燃焼装置については、ガス流量の大きさ等を精査した結果、当初想定していたよりも小規模かつ簡易的な装置として構築することが可能であることが判明したため、自ら装置を作成・構築したことにより、当初の総定額より安く簡易的なものではあるが火源用ガス燃焼装置を整備することができた。また、箱形容器については、実験実施前の予備実験による事前検討により比較的コンパクトなサイズの箱形容器の使用であっても、研究目的とする燃焼時の一酸化炭素の生成状況の差異を把握することが可能であることが判明した。主にこれらにより残額が生じ、次年度使用が生じた。 一方で、火源用ガス燃焼装置については、研究の遂行にあたって本格的な装置の導入が必要になっていること、箱形容器においても自ら作成しているためその作業に膨大な時間を費やしてしまっており、容器作成作業の効率化が不可避であること等から、令和元年度については、次年度使用額を用いて、本格的な火源用ガス燃焼装置の装置の購入、箱形容器作成時に用いる建材加工用機器の購入を予定している。
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