2019 Fiscal Year Research-status Report
積雪寒冷地における新規地震被害把握手法の開発と減災支援への展開
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18K04651
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
水田 敏彦 秋田大学, 地方創生センター, 教授 (30342455)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 積雪寒冷地 / 地震被害 / 地震防災 / 減災支援 / 秋田県 / 横手市 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過去の積雪期地震時の被災と対応の実態を解明し、これら積雪寒冷地特有の自然条件・社会条件を反映した震災軽減支援システムを構築するとともに、このシステムを活用した防災対策の提起を目的とするもので、3年間に亘って計画される研究の2年目にあたる。以下の3項目について研究を進めた。 (1)積雪寒冷地の地震災害に関わる関連資料の収集・整備と防災課題の整理:1872年3月14日浜田地震、1961年2月2日長岡地震、2011年3月12日長野県北部地震を取上げ、各種被害報告、新聞記事を収集・参照し、積雪下特有の被災状況や対応を明らかにすることができた。また、雪の影響は地震発生時の積雪に限らず、地震発生後の積雪により復旧・復興期に大きな影響を与える。そこで、1891年10月28日濃尾地震、2004年10月27日新潟県中越地震に着目し、地震後の雪の状況とその影響について問題点を整理した。これらの地震の他に大規模な地震の場合被害は広範囲に波及することすることから、M7.5の1964年新潟地震に着目し秋田県内の被害状況を整理した。 (2)震災軽減支援システムの開発(前半):昨年度に構築した建物・道路・避難者データベースを基に、マルチエージェント手法を導入して、建物倒壊と堆積雪・屋根雪の状況から、道路閉塞や避難・救助行動をシミュレーションするシステムの開発を行った。 (3)積雪寒冷地における住宅振動特性の季節変化の把握(後半):2018年12月から2019年6月まで秋田県横手市の特別豪雪地帯に位置する住宅を対象に、屋根雪荷重による住宅振動特性の季節変化の評価を目的とした住宅振動(常時微動)の連続観測を行い、冬期振動特性(特に固有周期)の変化を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多雪地帯の積雪期(12月~3月)に発生した地震被害について、当時の被害調査報告や地方新聞を収集し、積雪による被災と対応の整理を行い、積雪寒冷地の震災軽減支援システムに必須と思われる被災事象、問題点について成果が得られている。また、震災軽減支援システムの開発のためのGISデータベースとマルチエージェントシステムの構築もほぼ予定通り研究を遂行できた。さらに、積雪寒冷地における住宅の振動特性の季節変化の観測・解析も進めており、順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、①震災軽減支援システムの開発(後半)、②震災軽減支援システムの実証実験を進める。②については橫手市など行政の防災担当者を交えて妥当性・有効性を検討し、評価を受けて必要な改良を行いたい。また、積雪寒冷地の防災を考える上で被害の実態を明らかにすることは重要であることから、③過去の地震災害の文献調査についても継続する。
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Causes of Carryover |
理由:資料の複写経費が予定よりも抑えられたため、次年度使用額が生じた。 使用計画:資料収集や論文投稿料等に次年度で使用することとする。
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