2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K04653
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
潮見 幸江 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (60584266)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地下探査 / 移動観測 / マッピング / 重力勾配 / 干渉計 / 火山 / 山体斜面 / 道路陥没 |
Outline of Annual Research Achievements |
地下構造の時間変動を詳細に把握することが可能であれば、地震や火山、土砂災害や道路陥没などの災害をより正確に予測できると考えられる。しかし従来の観測手法では振動ノイズや電磁ノイズ、地中の水分・塩分含有量の影響等により、都市部や沿岸域での高精度観測が困難である。 本研究では、これらの問題点を解決する手法として干渉計型重力勾配実地観測を検討している。本重力勾配計は、2つの落下体を真空槽内で同時に投げ上げ、落下加速度の差をマイケルソン干渉計で測定する。自由落下加速度の差を直接測定することで、2つの落下体に共通する振動ノイズを相殺することができ、振動ノイズの影響を大幅に削減した観測が原理的に可能となる。また本装置の測定値は原理的に重力以外の影響を受けないため、次のような観測上の利点がある:(1)地形や地質構造には依存しないため、形状の複雑な沿岸域や山体斜面でも良い精度で観測を行うことができる、(2)塩分や水分の影響を受けることもないため、海岸域でも良い精度で観測を行うことができる、(3)地面振動の影響を受けにくく、火山活動の活発な地域や都市部、沿岸域でも高精度観測が可能である。このことから、沿岸域や山体斜面、市街地、移動体上においても装置本来の精度を活かした観測が可能となる。また独自の投げ上げ法を用いることで小型化も可能な構造となっている。 重力勾配値は距離の3乗に反比例するため観測できる範囲は限定されるが、観測対象地区に複数台設置して同時観測を行うことで、地下の局域的な物質分布の変動を面的に捉えることができる。本研究では複数台同時観測技術と本装置の可搬性を活かした移動観測技術の確立を目指し、移動プラットフォームの開発や光学系の小型化開発等に取り組んできた。本年度は、これまでの結果を踏まえ、火山地など人手の少ない遠隔地でも安全に移動観測を行うことができる移動台車の考案を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による大学内への入構規制や関係者の感染等により研究活動を行うことが困難な時期があった。規制緩和後は装置の運転を再開したが、真空排気系や駆動機構部に不具合が生じ復旧作業が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
不具合が生じている真空排気系と投げ上げ駆動機構を修理し、装置に組み込んで試運転を行う。また屋内の移動観測に向けたキャスター機構と屋外での測定に対応できる移動プラットフォームの模型の製作と試運転を行う。
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Causes of Carryover |
先に述べた理由により研究に遅れが生じており、開発が予定通りに進まなかったため、次年度使用額が生じた。来年度は、装置の復旧作業を行い、これまでに行った設計と考察をもとに開発を進める。
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