2018 Fiscal Year Research-status Report
A study on generating high resolution horizontal distribution of snowfall with dense observations.
Project/Area Number |
18K04655
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
熊倉 俊郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00272865)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 降雪地上計測 / 降雪計測機器 / 降雪レーダー計測 / 地上降雪分布 / 雪氷災害防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標は光学式反射型降水判別・降水量計(以下、反射型と呼称)の改良と実用化、及び、その機器の設置と観測、さらにレーダーデータと数値気象モデルの結果を用いた流跡線解析の到達点複数化である。 反射型の改良と実用化に関しては、研究前までに事後処理的に降水量を計算していたが、計測機器として独立して利用するためには常に降水量が出力されないといけない。よって、今までの冬季の観測結果を用いて準リアルタイムに降水種別と降水量を算出するアルゴリズムを考案した。これは4次元同化手法を参考にした手法で、近似的に指数関数で重み付けした時間平均値を算出しながら計測を行う手法である。反射型は各個別の粒子計測結果は距離が判断できないので意味を為さないが、時空間的な平均値の振舞いに対しては意味を持つため、この手法とは大変相性が良い。そして、そのアルゴリズムをデータ収録PCと反射型本体にあるマイクロコンピュータに組み込んだ。それを用いて、屋内降雪施設で検証を行ったところ今までの機器の校正方法が不十分であることがわかった。冬季前に、高精度な校正を施し、比較機器の揃った露場と道路端、山腹の観測点などに設置し、冬季の観測を行った。現状でまだ観測中の箇所、引き上げ後の校正を控えたものがあり、今後それぞれのデータを回収及び取得し、解析していく。また、風による捕捉率変化の問題に対しては、今季に特別に観測を実施した。さらに、実際の災害対策運用時には降水量ではなく積雪深の変化を見て行うことになっているため、降雪深をダイレクトに出力する機能についても検討を開始している。 流跡線解析については、データセットとして利用可能であるなどの準備は整っており、基礎となる解析は可能とした。最終型かとなるレーダーグリッドごとの流跡線解析処理にはまだ発展していない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に対して、ほぼ順調に研究は推移している。計測機器については開発は順調であるが、反射型を作成している企業側の要望により、測定機器の個数を増やすことはできず、今後とも難しいかもしれない。しかし、車載用などで開発されたセンチ波を用いた小型ドップラーレーダーの利用方法を模索しているため、光学に加えて電波による近接遠隔計測の試行ができる可能性がある。粒子の個別信号の分離が難しそうだが、それをクリアすれば、その後段の解析方法は反射型と同様であるのが利点と言える。気象レーダー解析については若干遅れ気味であるが、研究期間内に終えることは十分に可能であると考えられる。 まだ今冬季のデータ解析を終えていない段階ではあるが、一つ気がかりなのは今冬季は降雪があまり多くなかったことである。次季はそのことも含めて、室内実験の強化、みぞれの検出、観測地点の選択など観測計画に含める必要がありそうだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、データも取れていると考えられるため、反射型の校正の妥当性検証と風による影響の解析を実施する。取れているデータの品質が良くない場合には、屋内人工降雪実験時に力を入れてデータ収集する。後者に関してはSPICE(Solid Precipitation Intercomparison Experiment)で検討中のDFIR(Double Fence Intercomparison Reference)のデータ利用方法を用いる必要があるが、まだドラフト段階のようである。本研究で利用可能なデータとするには個別の検討が必要になる可能性がある。なお、センサーの作製に関しては現時点で増産の目処は立たないため、現状の10個体制で次季の観測計画を立てる。また、現状の項目で示した小型ドップラーレーダーに関しては、利用可能かどうかの検討を重ねていきたい。また、気象レーダーと連携する流跡線解析については、完成に向けて歩を進めていくが、今回の冬季のようにレーダー近隣で降雪が卓越しない場合には、過去のデータを使って解析を進めるしかないと考えられるが、校正の問題があるため、次季に期待したい。
|
Causes of Carryover |
2018年度の雪氷研究大会(2018・札幌)が、北海道胆振東部地震により現地開催不能となり、紙上発表のみとなった。これに参加する旅費として使用する予定だったが使用できなかったため余剰金が生じた。余剰分については、次年度の旅費と新規センサーとして取り上げた小型ドップラーレーダーの解析に必要な支出に利用する。
|
Research Products
(7 results)