2019 Fiscal Year Research-status Report
A study on generating high resolution horizontal distribution of snowfall with dense observations.
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18K04655
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
熊倉 俊郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00272865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 降雪地上計測 / 降雪計測機器 / 降雪レーダー計測 / 地上降雪分布 / 雪氷災害防除 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標は、先年度の実績から、光学式反射型降水判別・降水量計(以下、反射型と呼称)の校正方法の確立、機器の向きに対する風向風速の影響評価、積雪深の出力、気象レーダー観測の流跡線解析の進展である。 校正方法については、一定距離に入射する粒子に対する出力電圧の調整に加えて、発光素子の劣化の評価が必要である。前者は、小粒子を先端に取り付けた回転軸を回し、それを一定距離で測定する仕組みを作成し、出力信号の最大値で受光素子のゲインを調整した。後者はその校正機器を用いて、発光素子の駆動時間ごとに信号の減衰を算出し、ほぼ線形に減衰していることから、駆動時間に対する減衰強度を推定する式を求めた。風向風速の影響評価については、2019年度初頭の冬季の降雪が弱かったことから、2m/s程度までの評価しかできなかったが、横からの風に対しては修正なし、前面からの風に対しては風速に関わらず約0.8倍、横から後ろにかけては真後ろに対して風速vに対して約1/(1-0.45v)倍とすればよく、真横1倍に対して余弦関係で角度依存していることがわかった。しかし、もっと強い風速の測定値を用いて式の形状は変更する必要がある。積雪深の出力に関しては、雪の圧縮粘性とデグリーデイ的な融雪を考慮した積雪モデルを用いて各時刻の降水量から積雪深に変換したところ、災害に関係するような数時間に積もる積雪深の推定には十分に使えることがわかった。気象レーダーと流跡線解析については、冬季の降雪の事例が少なく、今回は見送った。しかしながら2020年当初の降雪はもっと少なく、次回の冬季に期待する。 進展として、レーダーを作製している企業との共同研究で大学屋上に設置している小型気象レーダーの観測をこの課題にあう形でスケジュールすることになった。また、反射型が作られなくなった分として、車載用小型ドップラーレーダーを用いた機器の開発を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に対して、ほぼ順調に研究は推移している。反射型の開発については、固体降水に対する観測技術としては、だいたい終了していると考えるが、降雨との分離がまだである。もともと降雨に対して感度が少ない光の波長で観測しているが、全く入らないわけではないので必要と考えられる。気象レーダーの解析について後れを取っているのが「おおむね」の主因であるが、これは冬季の降雪が少ない状況が2年継続してしまったことが大きい。利用できるレーダーシステムが2式となったため、次季には期待したい。加えて、車載型小型ドップラーレーダーを用いた観測機器の開発を始めたことを反射型機器の増産が不能となった代替と考え、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
反射型の開発としては、雨との区別方法は平均落下速度や平均粒子直径に相当する量から推定可能と考えている。また、風速依存性も明らかになったが、機器本体のみでの結果ではない。単体での測定という観点では、粒子ごとの観測電圧時系列生データを用いて入射角度の推定が可能と考えられるので、それを用いて風速依存性を解決したい。それらを加えて、時系列で降水種別と降水量、降雪深を算出して出力できるようにする。気象レーダー解析については、昨年と同様で心苦しいが、次回の冬季に期待したい。その準備として、大学屋上の新規レーダーでは流跡線解析に最適と思われる仰角設定をすでに取り入れている。最後に車載型小型ドップラーレーダーであるが、実際には同様の技術で既製品がある。しかし、通常の気象レーダーと同じように観測領域内粒子の総体としての平均的な振る舞いを利用していると考えられるが、入射する粒子数が多くない場合も開発中の機器で既に観測されている。このような場合に有効な方法として、反射型で培った粒子単体の取り扱いを取り入れた新しい手法の開発に挑戦していきたい。
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Causes of Carryover |
北海道地震の余波などにより前年からの持ち越しがあったのみならず、今年度は全国的なコロナウィルスの対策により、冬季の観測の一部が行えなかったために生じた。具体的には、北海道での観測を行う予定だったが、実施できなくなり、準備費、旅費、観測地設置費などがすべて黒字として残った。2020年度の実験・観測計画について、新庄での室内実験及び懸案である北海道での観測などを拡充するつもりであるが、不発に終わる可能性があるし、学会の全国大会への出張もほとんどなくなる予定であるため、その場合には、現在遅れ気味の気象レーダー解析のための計算資源、計算結果保存資源に割り当てるつもりである。
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Research Products
(7 results)