2019 Fiscal Year Research-status Report
準天頂衛星システムを利用した巨大災害発生急性期の救命用情報アーキテクチャの開発
Project/Area Number |
18K04663
|
Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
嶋津 恵子 産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (70424215)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 測位衛星システム / 世界標準 / L1S |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,2011年に発生した東日本大震災の経験から,大規模災害が発生すると被害が甚大な地域ほど日常利用している情報インフラが壊滅することを学習した.これを受け,災害急性期でも利用可能な通信設備の構築技術の研究とともに,緊急避難に必要な情報を配信する暫定通信網を,GNSSを介して実現することが必要であると考えた.一方,GNSSは測位情報を放送することを目的として設計されており,送信容量が非常に限定的である.そこで我々は,この限定的な容量のメッセージ領域を最大限有効に活用した,緊急避難のための情報を放送するためのメッセージをEC(European Committee)のGalileo衛星担当官と共同で設計した. 今回我々は,このメッセージ設計に従った緊急避難情報をQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)から実際に放送し,災害発生想定現場での受信状況の実証実験を行った.この時,GNSSの本来のミッションである測位情報と,避難のための緊急災害情報を同時に受信できるかどうかで有用性を評価した. 我々の開発したCommon EWS Messageは,被災地域を楕円で表現する.この方法が運用上適切か,またどの程度現状の仕組みと合致するかは,今回の実証検証からは確認できなかった.それは,今回の実証検証の目的が,開発したCommon EWS Messageに準拠した緊急災害情報が,測位補強信号と同程度のタイミングで受信できるかどうかであったため,当該の懸念に対する判断に十分なテストデータが用意されなかったことによる.今後は,実際の運用の視点から,特に被災範囲の楕円による特定と表現がどの程度適切であるかを検証する必要がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の災害発生状況を想定し、実際に2018年の8月の3日間で,デザインに従って作成したメッセージをQZSSで放送しノートPCとスマートフォンによる受信実験を行った.1日27000レコードの受信を記録し,有用性まで確認している.
|
Strategy for Future Research Activity |
世界標準化を目指し、EUのGalileo担当官と協業でメッセージの改良を図る予定。
|
Causes of Carryover |
企業からの寄付金を充当し、実証検証をおこなったため、執行予定予算をしたわまりました。 2020年度は、この予算を利用してアジアでの実証検証も加えていく予定です。
|
Research Products
(7 results)