2018 Fiscal Year Research-status Report
音声の生成・知覚メカニズムを応用した公共空間で明瞭な非常用音声案内の作成
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18K04666
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
程島 奈緒 東海大学, 情報通信学部, 准教授 (40453609)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音声知覚 / 音声生成 / 音声明瞭度 / 残響 / 災害 / 公共空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
残響をモニタしながら発話した音声(提案法1)については音響分析と若年者に対する音声知覚実験、緊迫感のある発話(提案法2)については若年者に対する音声知覚実験を行い、以下の結果を得た。 ・提案法1:1) 異なる雑音・残響下で発話した音声の音響分析から、静音下での発話と比べて話者の基本周波数は高く、時間長は長くなり、基本周波数は雑音の周波数帯域を避けるように発話する傾向がみられた。以上より、話者の基本周波数と雑音の周波数によって、提案法による基本周波数は変化することが示唆された。2) D値(室内音響指標の一つで、残響から音声明瞭性を百分率で示す指標)の異なる残響下で発話した音声を残響下で聴取する実験から、D値が低い条件では提案法の方が通常の発話より明瞭度が高くなった。以上より、聞き取りづらい環境では、提案法の効果がより得られる可能性が示唆された。3) 残響下で発話した音声の話速を変更して残響下で聴取する実験から、提案法の方が通常の発話より明瞭度が高く、発話が遅い方が早いよりも明瞭度が高く、話者は女性よりも男性の方が明瞭度が高くなった。以上より、話者の性別と話速によって提案法の明瞭度が変化することが示唆された。 ・提案法2:1) 提案法で発話した音声に、音声と一致/不一致な文字情報を先行させ雑音・残響下で聴取する実験から、提案法の方が通常の発話よりも明瞭度が高く、文字情報が一致した方が、不一致/文字情報が先行しない条件よりも明瞭度が高く、文字情報による緊迫感/通常の音声の差はみられなかった。以上より、文字情報が先行することで提案法の明瞭度に影響を与えることが分かった。2) 提案法で発話した音声を雑音・残響下で聴取する実験から、通常の音声の方が提案法よりも明瞭度が高くなり、話者の性別間では明瞭度に差はみられなかった。以上より、提案法の効果は話者によって変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ録音、音響分析、若年者への聴取実験とおおむね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は提案法1,2ともに、高齢者に対する音声知覚実験を行い、若年者の結果と比較する予定である。音響分析・音声知覚実験とも話者によって提案法の効果が異なる結果となったため、引き続きデータ録音の話者数を増やして音響分析、聴取実験を行い、提案法の効果が現われる話者の特徴があるかを調査する予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由は、以下の通りである。 ・購入を予定していたソフトウェアよりも安価なソフトウェアを購入したため(性能はほぼ同じである) ・成果発表を行うため参加を予定していた国際会議に、諸事情で参加できなくなったため 次年度使用額分は、実験で使用するコンピュータ、国際会議の旅費に充当する予定である。
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