2018 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Study on Policy on Reconstruction from Large-Scale Natural Disasters – Japan, Italy, Philippines and Indonesia
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18K04668
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
松丸 亮 東洋大学, 国際学部, 教授 (40708377)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 復興 / 2016年イタリア中部地震 / 開発途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
復興政策の国際間比較のため、本年度は、本研究課題で交付された費用以外の資金も利用し、本研究課題で想定していた日本(熊本)、イタリア、フィリピンの3か所で調査を行った。調査は主として、政府や地方自治体職員への聞き取りと被災者への聞き取りからなり、災害対応から復興に至るまでの制度、被災者支援(公的支援、民間支援)などがどのように行われているかを聞き取った。なお、3か所のうち、熊本とフィリピンでは、被災者が応急仮設住宅から恒久住宅への移転に差し掛かる時期であり、イタリアは仮設住宅への移転が完了する時期であった。 この3か所を調査することで、各国の復興に至るまでの制度、被災者の現時点での復興に向けた考え方、復興のとらえ方が明らかになってきている。特に、イタリアでの調査から、被災直後の政府の対応および市町村連携による被災者支援、長期の市街地債権を想定したSAEと呼ばれる仮設住居の仕様や仮設商店街などの立地計画などの考え方が明らかになってきていることは、今年度における研究の大きな進捗と言える。 一方、日本の熊本地震からの復興は、仮設住宅(建設型・みなし仮設)から、自宅再建、災害公営住宅への入居のフェーズに来ているが、従来型の、避難所→仮設住宅→恒久住宅という直線的な復興がとられ、復興公営住宅の立地も集落外の土地になるなど住民の意見がなかなか反映されていない状況になっていることもわかった。その一方で、熊本地震からの復興では、行政・社協・NPO(民間)の3社連携により、これまでにない被災者支援が行われていたこともわかっており、今後の大規模災害時の復興政策の参考になるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、3か国での調査を実施でき、現時点で必要としている情報は概ね得られていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、これまで得られた聞き取りに基づく情報から、分析の視点や指標を再整理し、それを基にインドネシアでの調査を行い、研究当初予定していた4か国での調査をひとまず終え、4か国の比較を行う。 そのうえで、2019年度中、または2020年度に必要な地域で現地調査を行い、研究目的に即した形で研究成果として取りまとめる。
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Causes of Carryover |
2018年度に計画していたフィリピン調査と熊本調査が他の研究資金での研究に付加して実施することができたため、現地までの旅費などが節約でき支出が少なくなった。 2019年度以降でより充実した調査にむけて支出予定である。
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