2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Study on Policy on Reconstruction from Large-Scale Natural Disasters – Japan, Italy, Philippines and Indonesia
Project/Area Number |
18K04668
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
松丸 亮 東洋大学, 国際学部, 教授 (40708377)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 復興政策 / 日本 / フィリピン / インドネシア / イタリア / 開発途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究期間を2年間延長した最終年度になる。 最終年度は、これまでの調査分析との比較対照を行うため、短期間ではあるがトンガにての調査を実施した。また、本研究で対象とした日本、イタリア、フィリピン、インドネシアに加え、本研究期間内で災害後の復旧・復興にかかる調査を実施したアルバニア、ネパール、トルコ、トンガといった国々の状況を踏まえた形で、各国がとっている政策の比較分析を行った。結果概要は、全体成果に記述する。 研究期間全体の成果として、大規模災害の場合、復興計画など計画立案と実施、予算措置について、以下の傾向があることが明らかになった。 ・日本:復興は地方(被災地)が主導で行われ、政府は地方を財政面を含め支援をする形となっている。 ・イタリア:緊急時の対応は中央政府が主導となっている状況が見て取れたが、復興は地方の主導でおこなれているようである。特に、歴史的建造物が集中する地方都市の旧市街地では、歴史的な街並みを保存することが共通の政策傾向として見られ、それがゆえに復興が遅れる傾向にあった。なお、近隣国の被災国であるアルバニアにおいても同様の傾向がみられた。 ・フィリピン・インドネシア:タイ規模災害からの復興は中央政府が主導(計画・予算措置・実施のすべてで)で行われる傾向が強い。とりわけ、復興計画の立案に際しては外部支援(例えば日本のODAや世界銀行等の支援)によるものも見られる。同様の傾向は調査を実施した開発途上国において確認された。他方、フィリピンとインドネシアの比較からは、中央政府・地方政府の復興や住民の安全に対する意思がより良い復興(Build Back Better)の実現に多大なる影響を及ぼすことが明らかになった。復興費用を国外に依存する場合における、ガバナンスの重要性が指摘される結論となった。
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