2018 Fiscal Year Research-status Report
実地形における避難行動を想定した津波被害軽減用流体素子の開発から検証まで
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18K04676
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
廣川 雄一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 特任技術研究員 (30419147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 俊幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 上席技術研究員 (40377594)
西川 憲明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 特任技術研究員 (80415984)
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80543230)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 防災 / ダム崩壊問題 / 気液二相流 / 流体シミュレーション / 流体実験 / 浸水避難シミュレーション / MAS / 土地鑑 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、地震活動が増加しており、地震の活動期に入った可能性が指摘されている。大規模な地震が発生した場合には津波による街区等への浸水が発生する可能性があり、被害を軽減するためには事前に検討および対策をしておくことが重要である。特に、浸水避難では浸水速度が避難速度を上回る場合、避難者は避難途中で浸水の被害を受ける可能性が高い。本研究は浸水避難を想定し、浸水の被害を軽減するための手法を研究・開発することで、既存の防災計画を強化する指針を提示し、安全・安心の向上を目指すものである。 事前の浸水予測として数値流体シミュレーションは有効な手段であるが、複雑な地形等を想定したシミュレーションの有効性は十分には検討されていない。そこで、河川など局所的な領域における数値流体シミュレーションの有効性を確認するため、ダム崩壊問題を対象とした気液二相流(水と空気)の数値流体シミュレーションを行い、実験結果との比較検証を検討する。 今年度はダム崩壊問題を対象とした(1)実験環境の構築および流れ場の計測、(2)数値流体シミュレーションによる流れ場の解析、(3)実験とシミュレーションの比較を検討した。その結果、数値流体シミュレーションでは液相(水)の流れを定性的に再現可能なことが確認でき、シミュレーションの有効性を確認することができた。また、気相(空気)では界面付近に渦が発生する可能性が実験およびシミュレーション両方の結果から示唆された。その他、浸水避難に係る基礎的なシミュレーション検討では、防災意識の低い地域住民は土地鑑があるにも関わらず、避難完了率が低くなるケースが発生する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は基礎検証として、ダム崩壊問題を対象とした実験環境を構築し、気液二相流の測定を行った。また、実験環境を模した三次元の気液二相流シミュレーションを行い、実験結果や解析解との比較・検証を検討した。その結果、三次元の気液二相シミュレーションでは液相の流れ場を定性的に再現できることが確認できた。また、気相では界面付近に渦が発生する可能性が明らかとなった。 浸水避難の想定では、基礎的な検討として二次元不定流の浸水シミュレーションとMulti-Agent Systemsを用いた人流シミュレーションを組合わせた浸水徒歩避難シミュレーションを実施した。その結果、防災意識の低い地域住民は土地鑑があるにも関わらず、避難完了率が低くなる可能性があることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ダム崩壊問題を対象とした検討において、気相では界面付近に渦が発生する可能性が判明したため、今後は流体実験の結果をより詳細に分析し、数値流体シミュレーションの高度化を図る予定である。また、ダム崩壊問題の検討を踏まえた上、流体力学的な知見に基づいて浸水被害軽減手法の研究・開発を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
ダム崩壊問題では気相に渦が発生する可能性が明らかとなり、気相の高精度な計測が必要であることが判明した。これに伴い、気相の流れ場を計測するための気相トレーサを導入した。また、高速度カメラ一式の性能を計画当初よりも高める必要も生じたため、次年度交付額と合わせて高速度カメラ一式および関連物品等を導入する予定である。
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Research Products
(5 results)