2019 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルアロイング法による新規スキルミオン物質の創製
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18K04679
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
肖 英紀 (肖英紀) 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (10719678)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スキルミオン / 合金 / 磁性 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、近年注目を集めている磁気スキルミオンを発現する物質のバラエティを拡げるために、メカニカルアロイング法によるスキルミオン物質合成法を確立することを目的としている。本年度は前年度から継続して、ボールミルを用いたメカニカルアロイング法により、2元系B20型TMGe ( TM= Cr, Mn, Fe, Co)合金を作製し、B20型構造が得られる詳細な形成条件を調べた。その結果、合成条件に依存してB20相の形成が確認でき、いずれのTMの場合においても、高圧合成を経ずともボールミルによって単相性の高いB20相が得られることを確認した。種々の温度における熱処理実験により、得られた合金の熱的安定性および結晶子サイズを評価した。熱処理温度に依存して、結晶性が改善し結晶子サイズが大きくなることを確認した。高圧合成法で得られた試料のバルク磁性を再現し、メカニカルアロイング法が高圧合成に代替する手法であることが示された。一般に、メカニカルアロイング法により作製した合金は微細結晶粒となるが、熱処理によってB20相の結晶性を改善でき、結晶子サイズを制御できることが示された。さらに2元系の結果に基づいて、3元系合金におけるB20型合金の作製を試みた。上記2元系のすべての混晶系、全てのx組成においてB20相の形成を確認でき、3元系に対してもメカニカルアロイングの有効性が示された。格子定数が置換元素量に依存して系統的に変化していることから、仕込み組成通りに元素置換した一連の試料作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2元系だけでなく、3元系合金においてもメカニカルアロイング法によるB20型合金の合成法を確立しており、概ね順調に進んでいると言える。本年度は合成と並行して、スキルミオン観察のための薄片試料作製の方法論も確立しており、次年度の透過型電子顕微鏡によるスキルミオン観察を予定通り遂行できる。特に熱処理温度を制御することによって結晶子サイズを系統的に大きくできることから、結晶子サイズの異なる試料を適宜観察し、スキルミオン形成における結晶子サイズ依存性を明らかにすることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまで作製した合金のスキルミオンの状態を透過型電子顕微鏡により明らかにする。結晶子サイズの異なる試料の観察により、スキルミオン一つより小さい結晶子から十分大きい結晶子にわたって、スキルミオン形成がどのように変化するのか調べる。空間制限を受けた場合における、スキルミオン構造、形成温度、温度や磁場に対する安定性を評価する。また、その際の微細結晶粒における結晶粒界とスキルミオンとの相互作用を明らかにする。
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