2020 Fiscal Year Research-status Report
すべりおよび双晶変形による亜鉛のECAP中における組織形成機構の解明
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18K04684
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北原 弘基 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 助教 (50397650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 新二 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (40222781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集合組織 / 粒界すべり |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、純亜鉛多結晶材にECAP(equal channel angular pressing)を施し、その結晶粒微細化には、せん断面通過前の双晶界面の増加が寄与していること、微細化と集合組織の形成には底面すべり、<c+a>二次錐面すべりおよび双晶とが寄与することを明らかにしている。また、力学特性の評価として、ビッカース硬さを測定した結果、逆ホールペッチの関係を示し、「粒界すべり」もしくは「粒界割れ」のような組織も観察されることが分かった。そこで本年度は、昨年度より大きいECAPダイスを準備し、ECAP引張試験片の作製を行い、その組織と力学特性を調査した。試料には純Zn鋳造材(99.999%)を用いた。ECAP加工は273K、Route Bcで、4-Passまで行った。引張試験は室温大気中で行い、引張試験片の平行部は、2×8×1.5mm3である。 各ECAP材は二極化した集合組織を有していた。昨年度の結果から集合組織の形成は底面すべりと<c+a>二次錐面すべりによるものと考えられる。また、Pass数の増加に伴い、集合組織の配向が強くなることが分かった。引張試験の結果、0-Pass材は最大強度を示したのちにすぐに破断した。一方でECAP材は強度が高くなるとともに、延性も大きく向上することが分かった。これは結晶粒微細化に伴い、粒界すべりの頻度が高くなったためと考えられる。そこで、FIBにより引張試験片にケガキ線を導入し、引張試験前後でケガキ線の観察を行った。その結果、粒界すべり生じることが明らかとなった。さらに、ECAP引張試験片はECAPで導入されるせん断帯に沿って破断することも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍であったため研究進捗に大幅な遅れが生じたが、後半に研究を進め巻き返しをおこなったため、やや遅れている状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
従来のECAPでは集合組織の形成と粒界すべりにより、更なる高強度が困難であることが分かった。昨年度の研究において、ECAPの集合組織の形成は、最終パスで決まることが明らかとなっている。そこで、ECAP最終パスを変化させることで、底面すべりと二次錐面すべりの抑制を考えている。具体的には、従来の90度ECAPダイスで任意のパスまで行い、最終パスでは120度ECAPダイスを用いることで、集合組織の制御を考えている。得られたECAP材の組織と力学特性の調査を行う。
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Causes of Carryover |
コロナによる自宅待機等に伴う装置使用料の減額、国際学会の今年度への延期があったためである。次年度に、装置使用料や学会延期による参加費の支払いに使用する。
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