2020 Fiscal Year Research-status Report
A study of pressure-induced phase transformation on Ni-based Heusler compounds
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18K04685
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
江藤 徹二郎 久留米工業大学, 工学部, 教授 (70322295)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 強磁性形状記憶合金 / ホイスラー合金 / Ni2MnGa / マルテンサイト変態 / 磁歪 / 相図 / 高圧 / x線構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ni2MnGaはマルテンサイト変態(M変態)を示す強磁性ホイスラー合金のプロトタイプとして、世界中で研究が続けられている。研究の目的は、この三元系合金の組成や圧力を変化させることで特異な構造変態のメカニズムを明らかにし、低温に留まっている構造変態点を室温近傍へ上昇させ、次世代の磁性形状記憶・超磁歪・磁気冷凍材料の実用化への指針を得ることである。2020年度の実績は以下の通り: 1.Ni-Mn-Ga合金の相転移現象のレビュー Ni2MnGaは1996年に巨大な双晶磁歪が発見されて以来、機能材料として注目されてきたが、主な対象はNiリッチ系(Ni2+xMn1-xGa)やMnリッチ系(Ni2Mn1+xGa1-x)であった。本研究ではGaの一部をNiに置換したNi2+xMnGa1-x合金を作製し、特に磁気と電気伝導特性に着目した。0.1< x <0.12の領域において磁気-構造相転移が観測され、大きな磁気熱量効果が期待される。またM変態の前駆現象とも位置付けられているプレマルテンサイト変態(P変態)が摂氏0度以上で観測され、室温近傍での超磁歪材料への応用も期待できる。従来のNiリッチ系とMnリッチ系合金と比較検討してレビュー論文として纏め、国際学会誌へ投稿した(2021年3月受理)。 2.高圧X線構造解析に向けた準備 高圧力下x線構造解析を実施するため、Ni2MnGa試料の準備と大型放射光施設での課題申請を行った。本系においてはMnとGaイオン配置の秩序度がM変態温度の圧力係数の符号に影響をおよぼすことが分かっており、事前に帯磁率の圧力依存を測定し(山形大学)、秩序度の優れた試料を準備した。また、2021年7月にSPring-8での一般研究課題として採択された。大阪大学・極限科学センターのグループと共同して実験予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はコロナ感染の全国的な拡大により、主要な実験課題の一つの高圧下でのx線回折実験を実施できなかった。この実験課題を2021年度に実施すべく、本課題の実施期間を1年延長した。2021年度中に測定実験と構造解析の両方を実施できる目途がついため、後は計画通りに遂行することに細心注意したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年以降のNi2+xMnGa1-x合金の実験研究により、Ni-Mn-Ga系の磁性、電気伝導、および構造などの基礎物性を明確にし、またNiリッチ系やMnリッチ系合金との構造相転移と磁気相転移や各相図の違いを明確にすることができた。ただし、M変態やP変態機構について、磁性、電気伝導性、結晶構造の各物性と、電子状態との相関を明らかにするには、第一原理などの計算結果と合わせて俯瞰する必要がある。そのためには、高圧力下での結晶構造、および各相での体積弾性率の精密データが重要となる。 これまで大学の実験室において、回転対陰極型X線発生装置とダイヤモンドアンビルセル(DAC)を組み合わせた光学系で、圧力誘起構造相転移の有無、および母相とM相での体積弾性率の精密測定を試みたが、立方晶から(おそらく)斜方晶への歪が微小であること、また各回折線がDACのガスケットピークと被ることで、格子定数および弾性率を精確に決定することができなかった。2021年7月に予定しているSPring-8での高圧下x線回折実験において信頼性の高いデータを取得し、構造解析を実施することで、圧力誘起構造相転移の有無や弾性率の挙動について明らかにする計画である。現在、予備実験として、作製した試料のx線回折実験(常圧下)をSPring-8にて実施している。
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Causes of Carryover |
今年度(2021年)が本基盤研究からのサポートを受けられる最終年度となる。2018-2020年の研究成果を吟味して効果的な実験計画を立てて推進するため、2020年の使用額を抑えた。本来は2020年に放射光施設などで共同利用実験を行う予定であったのを2021年に実施することにしたため、計画と差が生じた。
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[Journal Article] Martensitic and magnetic transitions in Ni2+xMnGa1-x ferromagnetic shape memory alloys2021
Author(s)
T.Eto, X.Xu, T.Ito, F.Honda, D.X.Li, G.Oomi, F.Nakamura, H.Masumoto, R.Kainuma, T.Kanomata
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Journal Title
Journal of Alloys and Compounds
Volume: 871
Pages: 1,10
DOI
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