2019 Fiscal Year Research-status Report
Quantitative analysis of spin and orbital magnetic moments in a neodymium magnet by magnetic Compton scattering
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18K04686
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
辻 成希 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 研究員 (90573113)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 放射光 / 磁気コンプトン散乱 / 保磁力 / ネオジム磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネオジム磁石の、スピンと軌道モーメントの定量解析およびその保磁力を測定することが本研究での目的である。また、スピン・軌道モーメントおよびその保磁力の温度依存性(高温)を測定することも本研究での目的としている。そこで、一昨年に、磁気コンプトン散乱を用いてスピン磁気モーメントの保磁力の測定を行い、さらにその深さ依存性を測定することにより、表面付近において、加工の際の表面劣化により、保磁力が低下することを観測した。また、磁石の中心部分では、反磁界の影響で保磁力が若干低下することも明らかにした。昨年度では、磁気コンプトン散乱用高温装置を製作し、高温磁気コンプトン散乱測定を行い、スピン磁化、保磁力の温度依存性測定を行った。測定を行った温度は、最大で400℃である。325℃付近で磁気コンプトン散乱の磁気効果が観測できなくなったため、スピン磁気モーメントが消失したこと意味する。また、全磁化(通常のSQUIDやVSMによる磁化測定)測定による得られたキュリー温度は、磁気コンプトン散乱測定で得られたスピン消失温度とほぼ同じであるため、スピン磁化と軌道磁化の温度依存性は、同じであることがわかった。また、保磁力に関しても同様な結果が得られている。 昨年度の結果では、スピン・軌道モーメントの温度依存性はほぼ同じであることが示されたが、微視的(深さ分解)に観測すると、その温度依存性に変化がある可能があるため、 温度変化によるスピン・軌道磁化における保磁力の深さ依存性測定を今後行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の科研費で製作した、磁気コンプトン散乱用高温装置を用いてスピン磁気モーメント及びスピン磁化の保磁力のキュリー温度までの温度依存性を測定することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにスピン磁気モーメント及びその保磁力の温度依存性を測定することに成功している。今後は、そのスピン磁気モーメントの保磁力の深さ依存性が温度によりどのように変化するのかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に高温装置を導入して測定を行う予定であったが、ビームライン装置の関係で導入が本年度に持ち越しになったため、予算計画が少し後にずれている。そこで次年度では、磁化測定装置を導入する予定である。
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Research Products
(1 results)