2018 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造複合体SOFCカソードの作製とその構造-機能相関の解明
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18K04691
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 和好 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40437299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 固体酸化物燃料電池 / ナノコンポジット / 空気極 / 酸素還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず、低温作動型固体酸化物燃料電池への応用に資する、ナノ構造La(Sr)MnO3(LSM)/Y0.15Zr0.85O1.95(YSZ)空気極の実現に不可欠な、均一かつ微細なLSM/YSZナノコンポジット粒子の合成を目的とし、YSZゾルの濃度、金属塩濃度、液性などを系統的に変化させて合成した粒子の構造を評価し、これら合成パラメータの最適化を実施することにより、70~80nmの粒子径を有する均一なLSM/YSZナノコンポジット粒子の合成に成功した。また、本ナノコンポジット粒子を用いることにより、100nm程度の粒子径からなるナノ構造空気極が得られることを見出した。空気極内の詳細な元素分布を、エネルギー分散型X線分析装置を備えた透過電子顕微鏡により観察したところ、LSMとYSZは極めて均一に分布していたことから、焼成時にこれらが相互の構成成分のバルク拡散を阻害し、その結果、粒成長が抑制され、ナノ構造化に実現に繋がったことが強く示唆された。また、650~800℃の範囲において、得られた空気極の酸素還元反応における電極反応抵抗は、サブミクロンサイズの粒子からなる従来の空気極と比べて1/8~1/3と低く、特に低温においてナノ構造化の効果が顕著であることが明らかとなった。律速過程の解析より、従来の空気極では、気相酸素のLSM表面への解離吸着ならびに吸着酸素種の表面拡散の寄与が支配的であるのに対して、ナノ構造空気極では、これらの寄与が著しく小さいことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではLSM/YSZ構造カソードにおける構造-機能相関の解明を目的としており、その第一段階となるナノコンポジット粒子の合成およびこれを用いたナノ構造カソードの作製プロセスの構築に一定の目処がついた。また、当該カソードが従来のものと比べて、特性が優れているだけでなく、酸素還元反応の律速過程も異なることが明らかとなっており、平成29年度の目的は概ね達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたLSM/YSZナノ構造カソードを用いて、酸素還元活性の酸素分圧依存性について評価を行い、酸素還元活性の微構造依存性をより詳細に評価する。また、LSMとYSZとの混合比やLSMおよびYSZそのものの組成を制御することにより、カソードの電気伝導性やイオン伝導性を制御し、これらの特性が酸素還元活性に及ぼす影響を調査する。
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Causes of Carryover |
今年度は、他に受け入れた研究費により消耗品を購入できた。また、2年目以降、研究を加速させるための備品(評価装置)が必要と判断し、これを購入するため、今年度予算の一部を次年度に繰り越した。
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Research Products
(6 results)