2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造複合体SOFCカソードの作製とその構造-機能相関の解明
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18K04691
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 和好 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (40437299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 固体酸化物燃料電池 / ナノコンポジット / 空気極 / 酸素還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、まず、LSMとYSZの混合比が酸素還元活性に及ぼす影響を調査した。LSMとYSZでは熱処理時の粒成長挙動が異なるため、従来の方法で作製した場合、混合比を変えると微細構造も変化してしまい、混合比のみの影響を抽出できない。そこで、これまでに開発を進めてきたYSZゾルを用いたLSM/YSZナノコンポジット粒子の合成プロセスを最適化し、微細構造は変化せず、LSMとYSZとの混合比のみが異なるナノコンポジットカソードの作製を試みた。ナノコンポジット粒子合成時のpHとゾル濃度、および金属イオン濃度の最適化により、100nm程度の粒子径でLSMとYSZとの混合比のみが異なるナノコンポジットカソードの作製に成功した。この方法により、YSZ含有率が30~70%のカソードを作製したところ、ORR活性が最も高くなる最適なYSZ含有率が約60%であった。これは、従来の機械混合法で作製したコンポジットカソードに比べて10%程度高く、この差は、混合比の制御による微構造変化の有無に起因しているものと考えられる。また、YSZはLSMに比べて耐熱性が高く、しかも、LSMの粒成長抑制剤としても振舞うため、最適YSZ含有量の増加は、耐久性の観点から有利であると考えられる。 次に、YSZナノ結晶の結晶性がORR活性に及ぼす影響を評価するため、YSZゾルを調製する際の水熱処理を3~96hで行い、YSZの結晶性を変化させるとともに、これを用いてLSM/YSZナノコンポジットカソードを作製し、そのORR活性を評価した。本ナノコンポジットにおいては、長時間の水熱処理を行った、結晶性の良好なYSZを用いることにより、ORR活性が向上することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではLSM/YSZ構造カソードにおける構造-機能相関の解明を目的としており、昨年度の検討では、ナノ構造化により律速過程が変化することを明らかにした。今年度はさらに、LSMとYSZとの混合比やYSZの結晶性がORR活性に及ぼす影響を明らかにしており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたLSM/YSZナノ構造カソードを用いて、酸素還元活性の酸素分圧依存性について評価を行い、酸素還元活性の微構造依存性をより詳細に評価する。また、YSZそのものの組成を制御することにより、これらの特性が酸素還元活性に及ぼす影響を調査する。
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Research Products
(6 results)