2020 Fiscal Year Annual Research Report
Ionic Conduction Analysis across Single Grain Boundary
Project/Area Number |
18K04708
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 博俊 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (10359961)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 粒界 / イオン伝導体 / 単一粒界 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は測定環境周辺の整備と試料の測定を行った。試料ステージにペルチェ素子を組み込み,試料温度を+70~-20℃に制御できるようにした。また低温測定を可能にするため,装置全体をドライボックス内に設置し,結露せずに測定が可能となった。 昨年度入手した粒径が0.3-0.5 mm程度の粗大粒子からなるガーネット型Li7La3Zr2O12の焼結体に対して,ペレット全体と,単一粒界に対して交流インピーダンス測定を行い,温度依存性を調べた。 ペレット全体で測定した場合,粒内成分は導電率,特性周波数,活性化エネルギーのいずれもが試料によらず同一の値を示した。一方,粒界に帰属された成分は粒内抵抗に対してほとんど無視できるか,小さかった。これは粒子が粗大であるため,電場を横切る粒界が少ないことを示唆する。 また,単一粒界に対する測定では,固体電解質の粒状の一つ一つに直径0.1-0.3 mmの微小電極を形成し,単一粒界のイオン導電率を測定することに成功した。温度依存性からは,ペレット全体で測定した場合よりも低い導電率と高い活性化エネルギーを示した。これは,粒界に生じたマイクロクラックが影響していると考えられる。マイクロクラックが生じた要因として二つ考えられる。一つは,ペレット試料を研磨した際の応力であるが,測定前に試料をアニールしていることから,影響は小さいと考えられる。もう一つは大気中の水分等で劣化が促進された可能性がある。 以上のように,本研究では,試料作製に課題が残るが,単一粒界のイオン伝導性を測定する技術を確立した。様々な条件で作製された固体電解質に対して本手法を適用することで,粒界抵抗や劣化の要因を評価できるようになった。また,本手法は,活物質粒子一つと固体電解質粒子一つを接合させて形成される微小電池に応用することが出来,全固体電池の開発にも応用が期待される。
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