2019 Fiscal Year Research-status Report
超臨界二酸化炭素で構造改変した熱硬化性樹脂由来活性炭による高性能キャパシタ作成
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18K04709
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
齊藤 丈靖 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70274503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 活性炭 / 賦活 / 熱硬化性樹脂 / 電気二重層キャパシタ / 表面官能基 |
Outline of Annual Research Achievements |
窒素中で昇温速度1℃/min、3時間、400℃で炭化したフラン樹脂の球状粒子(粒径1 μm)を、窒素中で昇温速度10℃/min、保持時間0 ~ 30分間、700 ~ 800℃でKOH賦活した。KOHと炭化物の質量比は4:1とした。 作製した活性炭の比表面積SBET [m2/g]、細孔径分布は窒素吸脱着法により評価した。表面化学構造はXPSにより、活性炭の表面官能基量はBoehmらの方法により評価した2)。活性炭と導電助材とバインダーを質量比8:1:1で混練した後、ペレット状(直径14 mm、厚さ2 mm)に成形し、115℃で24時間乾燥させて活性炭電極とした。KOH水溶液(6 M)を電解液として2極式セルを組み立て、室温で定電流充放電試験(電位幅:0 - 1.0 V、電流密度:20 - 500 mA/g)を行った。 活性炭の細孔構造と電流密度20 mA/gでの重量比容量をTable 1に示す。Table 1において、比表面積SBETが1200±100 m2/gである3試料(赤四角)の各種物性を比較した。750℃-0 hと800℃-0 hでは、700℃-0.5 hの場場合と比較して1.9倍のメソ孔率を有していた。比表面積は同程度であるため、メソ孔率と容量の大きさに強い相関があると考えられる。 Boehm法による酸塩基表面官能基量と、全酸性基量を100%としたときのフェノール基、ラクトン、カルボキシル基の割合、及び20 mA/gの時の重量比容量を比較したところ、750℃-0 hと800℃-0 hでラクトン及びカルボキシル基の割合に差があるにも関わらず、容量が同等であることから、表面官能基が容量に及ぼす影響はメソ孔率が容量に及ぼす影響に比べ、小さいと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、炭化されたフラン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂由来微粒子(粒径:10 ミクロン以下、適宜選択)を800℃程度のKOH賦活(N2中)もしくはCO2賦活することで活性炭化し、組成や表面官能基を評価してきた。 Boehm法による活性炭表面上の酸及び塩基官能基量の定量結果から、フラン樹脂由来の活性炭表面に対して種々の賦活を施すと表面上の有機官能基成分が変化する。元素分析による樹脂炭化物と活性炭の組成、及びBoehm滴定法による表面の全酸性基・全塩基性基量(元素分析では灰分を除き、C, H, N, Oの総量を100%として規格化)から、各樹脂の600℃炭化物の組成は、フランはO含有量(13.1%)がフェノール(5.8%)よりも高く、炭化後にO元素を多く残有した。メラミンはO含有量(9.1%)に加えてN含有量(31.8%)が大きく、樹脂モノマー骨格中のNが600℃炭化後も多く残存していた。賦活後組成は、フラン樹脂の700, 800℃KOH賦活後ではO含有量(10%以上)を維持したが、900℃KOH賦活後(2.1%)と1000℃CO2賦活(0.11%)によって大幅に減少した。また、KOH賦活温度が増大すると全酸性基量が減少したことから、活性炭表面のO含有酸性官能基が900℃以上の高温処理で消失したと考えられる。フェノールも同様の傾向を示した。メラミンは,炭化物のN含有量(31.8%)が賦活温度700, 800℃でそれぞれ4.6, 2.0%に大幅に減少したが、全塩基性官能基量(2.57, 2.02 mmol/g)がフラン、フェノールの5倍以上大きかった。モノマー骨格中のN元素がN含有塩基性基として賦活後も残存している可能性が高いことが分かった。まだメラミン樹脂由来活性炭については表面官能基の評価が不足しているため、いそぎ評価を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでに調べてきた-COOH基(カルボキシル基)の定量化を元にして、極力多くのカルボキシル基を導入した後に、有機溶媒中に希薄に溶解させたシリコン系アルコキシドや変性シリコーンオイルなどを細孔への浸透力の高い超臨界二酸化炭素を用いてミクロ孔内に導入し、加熱することで加水分解反応を促進し、活性炭表面にSi/C系複合膜を形成し、そのLiイオンキャパシタ特性を評価する。当初の予定通りである。
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Causes of Carryover |
外部機関設備使用料10000円の分を残していたが、端数が生じてしまった。次年度の予算と合わせて、賦活のための消耗品と試薬を購入するために使用する。
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