2020 Fiscal Year Annual Research Report
Photomagnetic Inorganic Nanosheets towards Spintronics Application
Project/Area Number |
18K04710
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山本 崇史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (40532908)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノシート / 磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、磁性を示す層状化合物を単層剥離させた磁性ナノシートを創出することによって、次世代を担うスピントロニクスデバイスを開発することを目的としている。2020年度は、磁性ナノシートの母物質として、層状構造を有する遷移金属リントリカルコゲナイドを重点的に取り扱った。具体的には、磁性イオンを含む遷移金属トリカルコゲナイドナノートの合成方法の精査、ならびに液相単層剥離の条件を検討した。 (1) 鉄を含む遷移金属リントリカルコゲナイド層状結晶の合成 2019年度に、磁性イオンとして鉄を含む遷移金属リントリカルコゲナイド (FePS3) の良質な層状結晶を得る際に、温度勾配に加えて反応時間を長くすることが効果的である知見を得ていたことから、2020年度はより詳細な条件検討を行った。具体的には、最終的なターゲット温度である800 ℃における焼成工程の前に行う温度勾配をつけた焼成工程(前焼き)の条件を検討した。その結果、400 ℃から800 ℃に至るまでに100 ℃ずつの温度勾配をつけることによって良質なFePS3層状結晶が得られることが粉末X線回折測定から明らかとなった。 (2) FePS3層状結晶の液相単層剥離(ナノシート化) 上述 (1) で得られたFePS3層状結晶の液相単層剥離に関し、FePS3と同様のファンデルワールス結晶である硫化モリブデン (MoS2) のナノシート化を参考とした。具体的には、液相単層剥離において使用する溶媒・塩基・超音波照射時間を系統的に変化させた。その結果、ホルムアミド溶媒中、水酸化セシウムを塩基として加え、1時間の超音波照射を行うことによって、厚みが1~3 nm程度のFePS3ナノシートが得られることが原子間力顕微鏡を用いた構造観察から明らかとなった。
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