2021 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of visible light responsive photocatalytic antibacterial titanium surgical implement through anodization in non-aqueous electrolyte
Project/Area Number |
18K04720
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
大津 直史 北見工業大学, 工学部, 教授 (10400409)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チタン材料 / 光触媒抗菌性 / 陽極酸化 / 非水溶媒 / 硝酸塩電解浴 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、本研究課題である「非水溶媒陽極酸化で形成した可視応答光触媒被膜チタン材料」の抗菌試験を実施し、細菌感染症を防ぐ表面処理技術としての応用可能性について検討をおこなった。表面処理技術としての応用を考えると、抗菌機能だけでなく、被膜自体の耐久性も重要となる。前年度までの研究により、この被膜耐久性および光触媒性能は、非水溶媒陽極酸化処理にもちいる溶媒の粘性に大きく依存することを突き止めており、さらにこの粘性を溶媒温度にて制御できることを見出している。例えば、120℃前後に保持したときに被膜の密着性の観点から、25℃前後に保持したときには光触媒機能の観点から、それぞれ最も好適な被膜を形成できる。そこで当該年度は、これまでの研究で培ってきた成果を基に、被膜の耐久性および光触媒機能の観点から有望と思われる溶媒温度で作製した光触媒被膜チタン材料について、抗菌試験を実施した。 試料は25℃および120℃に保持した非水溶媒電解液で処理した陽極酸化チタン材料を用いた。抗菌試験は、JIS R 1702に準拠した方法を採用し、試験細菌として、大腸菌(グラム陰性菌)および黄色ぶどう球菌(グラム陽性菌)を選択した。試験細菌を含む懸濁液を被膜チタン材料表面に滴下し、その後、紫外光(ブラックライト光源)または可視光(キセノンランプ光源)を4時間照射した。照射後、材料表面に生存する細菌数をコロニーカウント法を用いて計測し、その値から抗菌活性(ΔR値)を求めた。 耐久性の観点では120℃の試料が優れるが、その抗菌活性は25℃の試料に大きく劣ることがわかった。他方、25℃で作製した試料の抗菌活性値は、紫外光照射下ではおよそ2となり、JISの判定基準で抗菌活性有となったが、他方、可視光照射下では0.7となり抗菌活性不十分との判定となった。すなわち当該技術の実用化には溶媒のさらなる最適化検討が必要である。
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