2019 Fiscal Year Research-status Report
炭素繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂選択指針の構築
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18K04721
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 剛 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30436159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 複合材料 / 自己組織化マップ / 強度予測 / 応力集中 / フラグメンテーション試験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現在の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の力学的特性の停滞をブレークスルーするためには、「どのような物性を有する樹脂をCFRPのマトリックス材として選択すべきか?」の命題に対して明確な答えを提示することを目的として、破断繊維に隣接する繊維表面の応力集中緩和を誘起するマトリックス樹脂を発見し,マトリックス樹脂のどの物性が支配因子であるかを明らかにすることを行う。研究目的を達成するために、3つの研究課題を設定している。 (課題1)マトリックス樹脂の力学的特性評価 (課題2)フラグメンテーション試験とばね要素モデルによる応力集中係数の推定 (課題3)サイズスケーリング手法による強度予測と実験手法による強度・弾性特性評価 令和元年度は、昨年度に実施した一方向CFRPの引張強度予測手法を用いて、一方向CFRPの引張強度特性の支配因子である炭素繊維表面に発生する応力集中の発生メカニズムをマトリクス樹脂の力学的特性に着目して検討した。12種類の異なる力学的特性を有する樹脂を評価対象として、自己組織化マップを用いて応力集中係数に影響を及ぼす樹脂の力学的特性の抽出を行った。その結果,ヤング率、降伏応力ならびに応力拡大係数をパラメータとするき裂先端開口変位と応力集中係数との間に高い相関があることが示され、小さなき裂先端開口変位特性を有する樹脂をマトリクスに使用することで、一方向CFRPのさらなる引張強度特性の向上の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した令和元年度の研究実施計画に対して、研究実績の概要で記載した成果を挙げることができており、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行する上で特に大きな問題点はない。したがって、令和2年度も研究計画調書に記載した3つの研究課題をスケジュールに沿って遂行をしていく予定である。特に、今年度の研究で、マトリクス樹脂のき裂先端開口変位特性が一方向CFRPの引張強度特性の支配因子の一つであることが示されたことから、このマトリクス樹脂のき裂先端開口変位特性の積極的な制御に関する研究を行う。具体的には、ナノ粒子やカーボンナノチューブなどのマトリクス樹脂とは大きく異なる弾性特性を有する介在物を配合することで、き裂先端開口変位特性、つまりマトリクス樹脂のヤング率、降伏応力ならびに応力拡大係数の制御をおこなう。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる感染症の拡大に伴い、2020年の3月は実施できる研究課題に制限が発生した。3月に行う予定であった研究内容は、次年度に行うこととし未使用額はその経費に充てることにした。
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Research Products
(6 results)