2019 Fiscal Year Research-status Report
新規ならせん高分子ブラシの構造を活用するキラルな有機/無機複合材料の機能開拓
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18K04723
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 達也 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (00436528)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | らせん高分子 / 高分子ブラシ / リビング重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は不斉触媒の開発および光学異方性に優れた複合材料の開発のために、らせん高分子基板の作製を行っている。既に研究代表者が予備的な結果を得ている高分子ブラシを用いる無機結晶の結晶成長制御の研究で得られた知見を基に(CrystEngComm. 2010, 2014, Polym. J. 2014)、この結果をさらに発展させた新しい光学活性有機/無機複合体材料の開発を、特に高分子合成に焦点をあてて行うものである。 本年度は主鎖に共役二重結合を有するらせん状ポリアセチレンを基板として用いるために、ポリフェニルアセチレンの新しい合成法を開発した。表面修飾ブラシの高分子基板を作製するためには、高活性な開始効率をもつ安定な触媒が必要であるが、これまでは報告例がなかった。 そこで、ロジウム錯体によるフェニルボロン酸の触媒反応に着目し、ポリアセチレン類のワンポット精密合成法の開発に成功した(Angew. Chem. 2020)。この新規合成法によって、これまで合成が困難であった両末端に任意の官能基を有するテレケリック型のらせん状ポリフェニルアセチレンを望みの長さ(分子量)に制御して合成することができるようになった。さらに本合成法は、基質適用範囲が広いため、様々な官能基を側鎖に有するらせん高分子を容易に合成することができる。2020年度に重合条件の最適化を行い、分子量分布1.02の極めて狭い単分散高分子を、末端官能基を様々に変えて合成した。例えば、末端に金基板と結合するSH基をもつ26量体を合成し、金基板上で自己組織化膜を形成したことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリフェニルアセチレンの精密合成は世界の注目を集めており、報告した論文はVIPに選ばれている。さらに、この精密合成法を駆使した金基板の自己組織化ブラシの作製にも成功するなど、この手法によって研究の幅が広がったため、概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、開発した精密合成法を使って、様々ならせん状ポリマーブラシの合成を試みる。また、特殊構造をもつトポロジカルならせん高分子の合成も行い、無機化合物との複合化を試みる。 金基板に自己組織的に導入したらせん高分子基板は、電気化学の知見からとても興味深く、その導電性挙動を測定する。
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Research Products
(37 results)