2020 Fiscal Year Research-status Report
ナノファイバー複合材料の成形加工過程の流動制御を視野に入れた流動誘起構造の計測
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18K04728
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
保田 和則 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (80239756)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / 流動複屈折 / 高分子 / 繊維配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースナノファイバー(CNF)を強化材とした繊維強化複合材料の成形において,CNFの配向状態に対する高分子の影響を知ることは重要である。本年度は,その基礎的な研究として,CNFを水に分散させた流体にアニオン系の水溶性高分子を添加し,CNFの配向状態の変化について調べた。流れ場は,まずは平行平板型レオメーターを利用した単純せん断流れ場とした。配向状態は複屈折値によって評価した。ここで,複屈折値が小さいほどランダム配向に近い状態であることを意味する。添加する高分子の複屈折値はCNFに比べて十分に小さいことを事前に確認している。 アニオン系の高分子は水中で電離して負に帯電している。本実験で使用したCNFも水中では負に帯電しているので,両者の電気的な相互作用が流動配向に影響を及ぼす可能性がある。一方でノニオン系高分子は水中で電離しないので,電気的な相互作用はないものと考える。そこで,昨年度に測定したノニオン系高分子の結果と比較する。測定条件は,せん断速度を100 s-1,液温を25℃とした。比較基準は,高分子を添加しない場合と比較して,複屈折値がどう変化するかとした。 (1)アニオン系高分子を添加することで複屈折は低下した。つまり配向がランダムに近くなった。(2)分子量が大きな高分子ほど低下率が大きくなった。以上のことから,CNFにアニオン系高分子を加えることで,配向がランダム状態に近くなることがわかった。ノニオン系高分子を添加した場合は逆に複屈折値が上昇したので,高分子のイオン性によって,配向状態の変化が逆になることが明らかとなった。 これは,アニオン系高分子とCNFがいずれも負に帯電しているため,互いに電気的に反発することで,CNFの配向が阻害されたからだと推測できる。 なおカチオン系高分子でも同様の実験を試みたが,これは正に帯電しているため,CNFが凝集し,実験が行えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響で実験が滞ったため,研究の進度がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CNFの配向に対して高分子のイオン性が与える影響をこれまでの期間で調べることができた。これまでは流れ場として単純せん断流れ場を考えてきたが,今後は,実際の成形時の流動状態である複雑な流れ場を対象として配向状態を調べる。複雑な流れとしては,急縮小流れや急拡大流れを考える。このような流れ場は実際の成形金型内で頻繁に現れるからである。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で研究活動が滞ったため。
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Research Products
(2 results)