2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-efficiency zero-gap lap welding for zinc-coated steel sheet by laser irradiation to joining interface
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18K04738
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
西本 浩司 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (40501169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 精一 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 教授 (00218174)
安田 武司 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (70610468)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レーザ / 亜鉛めっき / 重ね溶接 |
Outline of Annual Research Achievements |
亜鉛めっき鋼板の重ね溶接において、従来のレーザ溶接法では亜鉛めっきの蒸発により溶融池を吹き飛ばしスパッタの発生やポロシティが形成されるなど健全な継手を得ることが困難である。本研究では、接合界面に直接レーザを照射し、接合直前にめっき層を除去したあと本溶接を行うことで欠陥のない亜鉛めっき鋼板の重ね溶接を目指している。 昨年度の研究結果から、接合直前で亜鉛めっき層を除去できれば、ポロシティ等の欠陥が形成されずに亜鉛めっき鋼板を重ね溶接可能なことが明らかになった。本年度は、亜鉛めっき鋼板の重ね溶接において、欠陥の原因となるめっき層を除去しつつ本溶接するために、レーザをデフォーカスさせて実験を行い、適正な条件範囲について検討を行った。 実験条件として、レーザ出力を2500から4000 W、送り速度5~10 m/min、焦点はずし距離を+24 mmまで変化させて実験を行った。焦点はずし距離が+17 mm以下の場合では、接合界面に溶接方向に伸びる1 mm程度の大きなポロシティが形成された。高速度ビデオカメラにより接合中の様子を観察したところ、めっき除去後に溶融池が接合界面よりあふれ出し、未除去のめっき部に触れることでめっき層が蒸発し溶融池を吹き飛ばしたのち接合が完了するため、ポロシティが形成されることが明らかとなった。また、適正な条件範囲において、ポロシティ等の欠陥がない健全な継手が得られ、引張せん断試験の結果、母材破断する良好な継手が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のレーザ溶接法では、鋼板表面にめっきされた亜鉛の沸点が鋼の融点よりも低いために,接合界面のめっき層がレーザ溶接時に蒸発し、溶融金属を吹き飛ばしてスパッタが形成されたり、溶融金属内に取り残されポロシティを形成することで健全な継手を得ることができなかった。また、亜鉛めっき鋼板を重ねた上方からレーザを照射するため、接合が可能であっても防錆のためのめっき層が除去されてしまうことと、接合界面以外への入熱は接合に寄与しないためエネルギーロスとなる。本手法では、接合界面のみにレーザを照射することが可能であるため、エネルギーロスが少なく最小限の入熱で接合可能であることと、接合材の両面とも亜鉛めっき層は残存するため、防錆機能を持たせたまま接合可能である。 本年度の研究成果から、接合界面のみにレーザを照射し、ローラにより圧接する直前でめっき層を除去可能であり、その後、母材を溶融させて圧接可能であることがわかった。圧接する直前でめっき層を除去する方法として、レーザ焦点位置をアウトフォーカス側へはずすことが有効であり、適正な条件範囲でポロシティ等の欠陥のない健全な継手が得られたことと、デフォーカス量が少ない場合に溶融池が溢れて未除去のめっき部に触れることでめっきが瞬時に蒸発し、溶融池を吹き飛ばしてポロシティ等の欠陥の原因になることが明らかになっており、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデフォーカス以外での入熱方法により、圧接する直前でめっき層を除去したのち本溶接を行うために、レーザを分岐可能な光学系等を用いて接合実験を行い、レーザ照射条件と継手強度について検討する。 また、本手法は接合界面へ直接レーザを照射して接合を行うため、高効率な溶接法であることから高速度での溶接が期待できる。しかしながら、溶融量が少ないため接合部幅も狭く形成される。継手強度を確保するためには板厚が増加するにともない接合部幅も増加させる必要がある。そこで、効率よくめっきを除去しながら、接合幅を確保可能なレーザ照射方法の検討を行う。さらに、従来のレーザ溶接法と同様にキーホールが形成されているのかなどの接合機構についても検討したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、2月と3月に実験および学会発表を予定していたが、新型コロナウィルスの関係で出張を自粛したたことから出張費やその他経費が執行できなかった状況がある。 また、当初予定では本年度の実験結果から得られた成果(最適なレーザ分岐本数や配置)を基に光学系(分岐DOE)を設計・製作する予定であり、150万円程度予算を計上していた。しかしながら、本研究目的達成のためには溶接機構の解明が重要であると判断したため、実験機器(高出力レーザ)使用料および出張旅費として、本年度の助成金と合わせて使用する。
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Research Products
(1 results)