2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of novel thermosetting matrix resin for carbon fiber reinforced composite material and its molecular design
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18K04741
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 肇 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主任 (60416287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 恵子 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究主幹 (50416286)
米川 盛生 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究員 (60724151)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エポキシ樹脂 / フェニルエチニルカルボニル / 耐熱性 / 耐熱分解性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、目的を達成するための基礎研究として、硬化剤としてフェニルエチニルカルボニル基を有する酸無水物を用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂の硬化反応および硬化物の特性についてまず検討した。 その結果、酸無水物とエポキシ基が100~120℃付近で先に反応が進行し、その後300℃前後でフェニルエチニルカルボニル基同士の反応が進行することがわかった。 すなわち、DSC測定の結果から、100℃付近に酸無水物とエポキシ基の反応に由来する発熱ピークが観測された。また、300℃付近にはフェニルエチニルカルボニル基の重合反応に由来する発熱ピークが観測された。本来、フェニルエチニル基の重合反応は、およそ200℃近辺で進行するが、300℃という非常に高温側に発熱ピークが観測された。これは、エポキシ樹脂との配合系においては、まずエポキシ基と酸無水物基との反応が先に進行するため、フェニルエチニルカルボニル基の分子運動が妨げられることに起因していると考えられる。ただし、フェニルエチニル基の発熱ピーク温度である350-370℃比べ、そのピーク温度は約50℃程度低下させることができることが明らかになった。 硬化物の特性を検討した結果、フェニルエチニルカルボニル基を有する酸無水物で硬化したエポキシ樹脂は非常に優れた耐熱性および耐熱分解性を示すことがわかった。これらの優れた熱的性質は、フェニルエチニルカルボニル基の重合により生成するアルケンや多環芳香族構造により、分子間相互作用が強くなること(分子パッキング)、および分子鎖の動きが抑制されることによるものと考えられる。 しかしながら、硬化温度が300℃付近のものは加熱により主鎖が熱分解で結合が切断され、耐熱性をはじめとして強度などが低下する傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とした内容(樹脂組成物の硬化性や成形性、および硬化物の構造解析とその特性を評価すること)、以上の内容を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
末端にフェニルエチニルカルボニル基、分子内にイミド基を2個有する新しい熱硬化性イミド化合物を合成する。得られる新規熱硬化性イミド化合物を架橋剤として用いたエポキシ樹脂の硬化挙動(反応性)について検討する。新規熱硬化性イミド化合物をエポキシ樹脂の架橋剤として用いるため、まずPETAをエポキシ樹脂と反応させる。それと同時に、新規熱硬化性イミド化合物も合わせて系中に配合し、フェニルエチニルカルボニル基の重合によるエポキシ樹脂の架橋を行う。得られる樹脂組成物の硬化挙動を明らかにし、さらにフェニルエチニルカルボニル基の重合挙動およびその硬化物の構造・特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
難燃性評価装置を購入する予定である。
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