2023 Fiscal Year Annual Research Report
Physics of luminescence properties of hydrogen-containing rare earth-doped oxides and their development into novel scintillator material applications
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18K04747
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉野 正人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10397466)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蛍光体 / 水素 / 希土類 / 酸化物 / シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの成果に基づき、Zn添加Y3Ga5O12、Zn添加Y3Al2Ga3O12におけるPr3+の発光・励起スペクトル測定結果および第一原理計算による欠陥準位の結果から水素、酸素空孔の影響についてその過程のモデルの構築について検討した。特に水素の影響についてモデルの構築を目指した。Y3Ga5O12における水素添加による影響として、H2Oの溶解により水素が添加されることから酸素空孔が減少し、酸素空孔がつくる欠陥準位による4f4f準位における遷移へ与える影響が減少することで1D2からの発光が増加すると考えた。また、Y3Al2Ga3O12においては、伝導帯の下部に形成される水素の準位がホストから4f5d状態間への非輻射の遷移に影響を与えることでホスト励起によるPrからの発光が増加すると考えた。また、遷移スペクトルの温度依存性についてもパイロクロア型構造において特徴的な傾向が得られていたため、希土類まわりの構造とスペクトルの温度依存性の関係について実験により調べ整理をした。Er3+の4f4f遷移を例にとりパイロクロア型酸化物中のErのスペクトル形状を比較したところLa2Zr2O7においてブロードな遷移スペクトルが得られその温度依存性から静的および動的な乱れがErの配位環境に多様性をもたらすことでブロードなスペクトルが得られているとした。この静的な乱れの遷移スペクトルへの寄与について対称性の崩れが反映されると考えるアップコンバージョン発光を用いて比較を行ったところ、希土類イオンまわりの対称性の崩れの程度とアップコンバージョン発光における多段階の励起の程度に相関があることがわかった。 研究期間全体をとおして、新しく水素含有希土類添加酸化物を見出し、その発光材料としての評価に加えて、水素および添加物、欠陥、構造の乱れの影響、温度依存性の解析を行った。
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