2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel High Entropy Alloys for metallic biomaterials based on the new alloy design
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18K04750
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永瀬 丈嗣 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (50362661)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生体材料 / ハイエントロピー合金 / 熱力学計算 / 凝固 / 鋳造 |
Outline of Annual Research Achievements |
5種類以上の合金元素をほぼ等量ずつ配合することで作製されたハイエントロピー合金は、面心立方(FCC)・体心立方(BCC) といった単純な結晶構造を有する高濃度固溶体を形成し、鋳造ままでも高強度・高延性を示す新金属材料である。しかし、その開発は単純な経験則に基づくパラメーター法を用いた絨毯爆撃的実験が中心であり、これまで蓄積・構築されてきた熱力学データベースや計算科学に基づく開発がなされていないのが現状である。 本研究では、生体ハイエントロピー合金として開発がすすむTiNbTaZrMo生体ハイエントロピー合金の凝固組織を、液相線温度および液相線温度における分配係数の熱力学計算結果と比較を行い、等軸デンドライト組織における元素分配が、熱力学計算結果によりよく説明できることを明らかとした。この結果は、極めて複雑な構成元素の組み合わせを特徴とするハイエントロピー合金・生体ハイエントロピー合金であっても、固溶体と液相のみを仮定した液相線・雇用線の熱力学計算結果が、凝固組織の制御に極めて有効であることを示している。 凝固現象に注目した熱力学計算をもとに、等原子組成比TiNbTaZrMo生体ハイエントロピー合金に加え、あらたにTi濃度を増加させたTi2.6NbTaZrMo合金の設計・試作を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
等原子組成比TiNbTaZrMo生体ハイエントロピー合金の凝固組織と元素分配を実験的に解明した。観察された凝固組織におけるデンドライトとデンドライト樹間の元素分配を、液相線温度における分配係数と比較した結果、実験結果が熱力学計算結果によりよく説明できることを明らかとした。生体ハイエントロピー合金の開発に際して重要となる凝固組織の制御に際し、熱力学計算が有効であることが明らかとされた。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的に、鋳造材の凝固組織は、凝固プロセス(鋳造プロセス)や溶湯の冷却速度にも大きく依存することが知られている。本研究では、アーク溶解法に加え、浮遊溶解法による試料作製を行い、その凝固組織の解明と熱力学計算結果との比較を行う。これにより、凝固組織におよぼす凝固プロセス依存性および冷却速度依存性を明らかとする。 凝固組織にみられる等軸デンドライト組織は、凝固時における元素分配を反映した組織であるため、凝固により形成された構成相が熱力学的安定相であるかどうかは明らかとなっていない。そのため、熱処理に伴う組織変化および元素分布の変化を明らかとする。 鋳造材および熱処理材における細胞試験を行うことで、生体ハイエントロピー合金における構成元素の分布と細胞特性に関する知見を得る。
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Causes of Carryover |
研究の進行にともない、純金属元素ではなく母合金を利用したほうが、組成の制御が用意であることが判明したため、原材料の購入品目を当初計画から変更した。これにともない、次年度使用額が0円より大きくなった。 次年度使用額については、当初計画から変更した原材料費の購入に使用する予定である。
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