2018 Fiscal Year Research-status Report
天草陶石を原料とするアルミナ強化磁器の強化メカニズムの解明と高強度化設計
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18K04753
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
赤津 隆 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (40231807)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁器 / 強度 / 熱膨張率 |
Outline of Annual Research Achievements |
天草磁器土:益田長石=6:1に調整した原料にアルミナを添加して1200℃~1350℃で焼成し、アルミナ強化磁器を作製した。それらの曲げ強度を評価した結果、アルミナ15wt%添加でアルミナ無添加磁器の約1.3倍、アルミナ30wt%添加で約1.7倍となり、アルミナ添加による強度上昇の効果が確認できた。それらの強度データに対し、2母数のワイブル統計解析を行った結果、形状母数が約25となり、強度データの信頼性が比較的高いことが確認できた。アルミナとそれ以外の磁器素地との熱膨張率差を変化させることにより、pre-stressが強度に及ぼす影響を検討するため、滑石添加アルミナ強化磁器の強度を評価した。天草磁器土:(益田長石+滑石)=6:1に調整した原料にアルミナを添加し、1300℃で焼成してたアルミナ強化磁器を作製した。滑石添加アルミナ強化磁器の強度は、滑石約0.1wt%添加で若干減少するが、さらなる滑石添加により強度は上昇し、アルミナ15wt%添加で強度がアルミナ無添加磁器の約1.4倍@滑石0.3wt%、アルミナ30wt%添加で約1.9倍@滑石0.5wt%となった。滑石添加がアルミナを除く磁器素地の熱膨張率に及ぼす影響を評価した結果、滑石0.1wt%添加では熱膨張率が大きくなり(ガラスのネットワーク構造がMg2+イオンで分断される効果)、それ以上添加すると熱膨張率が小さくなる(石英のガラス化促進の効果)ことがわかった。アルミナとアルミナを除く磁器素地の700℃から35℃における熱収縮差に対し、強度の増加分(滑石添加アルミナ強化磁器の強度ー滑石無添加アルミナ強化磁器の強度)をプロットした結果、熱収縮差の増加とともに強度の増分も大きくなることが明らかとなった。このことにより、pre-stressがアルミナ強化磁器の強度上昇の主な原因の1つであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天草磁器土:益田長石=6:1に調整した原料にアルミナを添加して1200℃~1350℃で焼成し、アルミナ強化磁器を作製した。それらの曲げ強度を評価した結果、アルミナ15wt%添加でアルミナ無添加磁器の約1.3倍、アルミナ30wt%添加で約1.7倍となり、アルミナ添加による強度上昇の効果が確認できた。それらの強度データに対し、2母数のワイブル統計解析を行った結果、形状母数が約25となり、強度データの信頼性が比較的高いことが確認できた。アルミナとそれ以外の磁器素地との熱膨張率差を変化させることにより、pre-stressが強度に及ぼす影響を検討するため、滑石添加アルミナ強化磁器の強度を評価した。天草磁器土:(益田長石+滑石)=6:1に調整した原料にアルミナを添加し、1300℃で焼成してたアルミナ強化磁器を作製した。滑石添加アルミナ強化磁器の強度は、滑石約0.1wt%添加で若干減少するが、さらなる滑石添加により強度は上昇し、アルミナ15wt%添加で強度がアルミナ無添加磁器の約1.4倍@滑石0.3wt%、アルミナ30wt%添加で約1.9倍@滑石0.5wt%となった。滑石添加がアルミナを除く磁器素地の熱膨張率に及ぼす影響を評価した結果、滑石0.1wt%添加では熱膨張率が大きくなり(ガラスのネットワーク構造がMg2+イオンで分断される効果)、それ以上添加すると熱膨張率が小さくなる(石英のガラス化促進の効果)ことがわかった。アルミナとアルミナを除く磁器素地の700℃から35℃における熱収縮差に対し、強度の増加分(滑石添加アルミナ強化磁器の強度ー滑石無添加アルミナ強化磁器の強度)をプロットした結果、熱収縮差の増加とともに強度の増分も大きくなることが明らかとなった。このことにより、pre-stressがアルミナ強化磁器の強度上昇の主な原因の1つであることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究成果により、アルミナ強化磁器の強度上昇の主な原因が、アルミナとそれ以外の磁器素地における熱膨張率差(もっと正確に言えば、熱収縮差)によって生じるpre-stressであることが明らかとなった。次年度以降において、pre-stressの定量化を試み、強度上昇とpre-stressの定量的な関係を明らかにする。さらに、pre-stressに基づいた材料設計を行い、これまで以上に高い強度を発現するアルミナ強化磁器を開発する。
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Causes of Carryover |
試料を作製する石膏型と特性を評価するために必要な治具を年度内に購入する(補充する)予定であったが、納入時期が年度内に間に合わなかったため。次年度に購入する予定。
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