2019 Fiscal Year Research-status Report
天草陶石を原料とするアルミナ強化磁器の強化メカニズムの解明と高強度化設計
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18K04753
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
赤津 隆 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 教授 (40231807)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 磁器 / アルミナ / 強度 / 応力 / 亀裂発生 / 焼成変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミナ強化磁器の強化メカニズムについて定量的に考察した結果、磁器マトリックスとアルミナ粒子の熱膨張率差に起因するプリストレスにより強度が向上する(タルク添加量を変化させてアルミナ強化磁器の曲げ強度を測定した結果、アルミナ粒子と磁器マトリックスの熱膨張率差が大きくなるほど、曲げ強度が向上する)ものの、それだけでは十分に強化分を説明できない(推定されるプリストレスよりも大きく強度が向上する)ことが明らかとなった。さらなる強度向上は、磁器焼成の冷却過程で生じる石英粒子の相転移に伴う亀裂発生を、アルミナ粒子添加が抑制するため、であることがわかった。このことは、磁器の熱収縮曲線上に現れる亀裂発生によるステップが、アルミナ強化磁器では焼失することで確かめられた。プリストレスの直接計測は、ラマン分光法で取り組んでおり、外力を付加したアルミナ多結晶体でラマンピークがシフトすることを確かめた。今後はアルミナ強化磁器でのラマンピークシフトを確認する。アルミナ強化磁器は、通常、焼成中に大きく変形してしまう。これはアルミナ強化磁器の生産性を大きく低減する。タルク添加によってガラス相の高温での粘性と量を制御することによって、幅広い温度範囲で焼成変形しない磁器(吸水率0.5%以下)を作製できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の最も重要事項である強化メカニズムの解明についてはほぼ解決できた。それを強力に裏付けるプリストレスの定量化についてはラマン分光法での可能性を既に見出した。タルク添加が焼成変形抑制に効果的であることを明らかにし、強度だけでなく、ねらった形状を精度よく実現できる磁器についての材料設計も可能となりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ラマン分光によるプリストレスの定量化とほとんど焼成変形しない緻密な磁器の開発、および強度向上の確認。
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Causes of Carryover |
予定していた石膏型の購入時期が遅れている。焼成炉に関する消耗品などの購入が次年度に持ち越された。論文発表に関する経費が次年度支払いとなった。
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