2018 Fiscal Year Research-status Report
セラミック製人工股関節ライナーの体内破損機序解明と安全性向上に向けた提言
Project/Area Number |
18K04756
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宍戸 孝明 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70266500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康仁 東京医科大学, 医学部, 助教 (60567668)
立岩 俊之 東京医科大学, 医学部, 講師 (00424630)
正岡 利紀 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70256270)
山本 謙吾 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 人工股関節 / ジルコニア強化型アルミナ / 相転移 / 残留応力 / エージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最先端のzirconia-toughened alumina matrix composite(ZTA)製人工股関節ライナーにおける生体内劣化のミクロメカニズムを明らかにするとともに、表面加工や亀裂形成が劣化機序にどのような影響を及ぼすのかを経時的に調査することで、ライナー破損要因を科学的に明確にするとともに、更なる臨床成績向上をもたらす材料学的改善案を提示することが目的である。 ダイヤモンド ビッカース圧子を使用し、200Nの荷重にてライナー辺縁部の一ヶ所に圧痕を作成しリム・クラックを再現した。ASTM F-2345-03に準拠し、ライナーを水熱環境下(134℃、0.2MPa)に晒し、経時的な加速エージングを実施した。本条件での1時間のエージングは、生体環境の約2年間に相当することが規定されている。エージングは2.5時間(生体約5年)毎に中断し、ラマン分光および蛍光分光法によるジルコニア相の相転移率およびアルミナ母相の残留応力分析を実施した。計測箇所は、ライナー摺動面、辺縁亀裂部、辺縁非亀裂部、背面非研磨面の計4か所とした。辺縁亀裂部では、亀裂先端部の周辺で分光マッピングを実施し、相転移および応力分布の可視化を試みた。ZTAライナーでは、エージング前の段階から僅かな相転移変化を認め、これはアルミナージルコニア相間の熱膨張係数の不整合や製造時の切削加工条件によるものと考えられた。また同一ライナー内でも計測箇所により相転移量および応力レベルにばらつきを認め、臨床使用時に及ぼす経年的影響について今後さらに詳細な検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では本事業の遂行において予期せぬ事態は生じておらず、当初予定通り加速エージングおよびその後の分光評価を順調に進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も同様の手法で加速エージングおよびラマン・蛍光分光分析を実施し、人工股関節ライナーにおける表面状態の異なる各計測箇所の経時的変化に関して評価を続ける予定である。
|
Causes of Carryover |
レーザーや各種フィルタなどの光学機器の交換やその他保守点検など高額な支出が必要になった場合に備えて、次年度以降の研究の遂行に支障が出ないよう一部の研究費を繰り越すこことした。
|