2018 Fiscal Year Research-status Report
表面せん断押出による強度傾斜アルミニウム材料の創製
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18K04766
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
紙川 尚也 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (30530894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 押出加工 / 組織制御 / 力学特性 / 強度 / 延性 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、表面せん断押出により形成される不均一組織の形成過程に及ぼす潤滑の影響を明らかにすることを目的に実験を行った。入口直径8mm、出口直径5mm、ダイス半角15°の押出ダイスを作製し、99.99%高純度アルミニウムの再結晶材を出発組織として、表面せん断押出加工を施した。このとき、押出加工に用いる潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレンと二硫化モリブデンを用いて、試料表面に導入されるせん断ひずみ量の制御を試みた。 格子線けがき法により、押出加工により導入される半径方向のせん断ひずみ分布を測定したところ、ポリテトラフルオロエチレン潤滑による押出では、非常に潤滑の良い条件での押出加工がなされため、せん断変形がほとんどない半径方向に均一な押出変形が導入されていたのに対して、二硫化モリブデン潤滑による押出では、摩擦の大きい押出加工が実現でき、表面付近に非常に大きなせん断変形を導入することに成功した。 EBSD測定により半径方向の組織分布を調べたところ、ポリテトラフルオロエチレン潤滑押出材では、半径方向に大きな組織の違いは見られず、いずれの半径位置においても、主に小角粒界から成る加工組織が形成されていた。一方で、二硫化モリブデン潤滑押出材の表面付近においては、大部分が大角粒界から成る超微細粒組織が形成されていることが確認された。 すなわち、高摩擦条件下での押出加工を利用すると、表面付近に非常に大きなせん断変形を導入することができ、結晶粒超微細化を促進することができることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画通りに、概ね順調に研究を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究では、表面せん断押出による不均一組織の形成に及ぼすダイス半角の影響を系統的に明らかにすることを目的に実験を進めていく。その際、初年度の研究により得られた成果を踏まえて、ポリテトラフルオロエチレンと二硫化モリブデンの2種類の潤滑剤を用いて、種々のダイス半角を有するダイスにより、表面せん断押出を行い、効果的に超微細粒組織の形成を実現できる条件を模索していく。
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Causes of Carryover |
当該年度末に少額の残金が発生したが、次年度に繰り越しできる種目であったため、使い切ることなく、次年度に繰り越した。残金は、次年度の消耗品費として使用する予定である。
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