2020 Fiscal Year Annual Research Report
Production of strength-graded aluminum by surface shear extrusion
Project/Area Number |
18K04766
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
紙川 尚也 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (30530894)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 押出加工 / 組織制御 / 超微細粒材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の1年目および2年目には、表面せん断押出を施された高純度アルミニウム丸棒試料の半径方向に形成される不均一加工組織に及ぼす潤滑およびダイス半角の影響について調べた。その結果、表面せん断押出による超微細粒組織の形成には、試料とダイスの接触面積を大きくした条件で無潤滑押出を実施することが極めて効果的であることを明らかにした。一方で、これまでの研究において用いてきた押出ダイスは、変形部の形状が左右対称であるため、必然的に試料中心部に導入されるせん断ひずみはゼロになり、試料中心部の結晶粒超微細化は実現できないという問題点があった。 そこで、最終年度の研究では、押出加工により試料内部にまでせん断ひずみを導入するプロセスとして、ダイスの変形部の片側にのみくさびを設け、ダイス変形部の形状を左右非対称にした押出ダイスを用いて押出を行う非対称せん断押出という方法を提案し、その有用性について検討した。 非対称せん断押出の実験に用いた押出ダイスは、入口形状が幅6 mm x 厚さ6 mmの正方形、出口形状が幅6 mm x 厚さ3 mmの長方形であり、ダイスの片側にのみダイス半角15oのくさびを設けた。格子線けがき法により、押出加工時に試料内部に導入されるせん断変形の様子を確認したところ、くさびを設けた側で材料流動が妨げられるのに対して、くさびのない側では材料が先進する結果、試料内部にせん断変形を導入できていることが確認できた。一方で、非対称せん断押出変形により加工された試料の変形組織の様子を調べたところ、厚さ全体を通して結晶粒微細化はほとんど進んでいないことも明らかになった。これは、今回実施した非対称押出の条件では、試料内部に導入されたせん断ひずみ量がわずかであったためであると考えられる。本手法により試料内部における結晶粒超微細化を実現するためには、押出条件の最適化が必要になる。
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