2018 Fiscal Year Research-status Report
超微細結晶材料の粒界誘起塑性に起因する展性を活用した二次加工性向上
Project/Area Number |
18K04783
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 元仁 同志社大学, 理工学部, 准教授 (70635309)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 強ひずみ加工 / 超微細結晶 / ナノ結晶 / 延性 / 圧縮試験 / ECAP法 |
Outline of Annual Research Achievements |
強ひずみ加工(SPD)法による形成した超微細結晶粒組織は乱れた原子構造を有する非平衡粒界からなり、その塑性変形機構は通常粒径材とは異なることが明らかになっている。これまで提案されてきた塑性変形機構は概ね転位が粒界で形成・消滅する、いわゆる粒界誘起塑性(Grain boundary induced plasticity)が考えられている。これに起因して、変形による転位密度の上昇や転位組織の発展など組織変化がなく、そのため加工硬化能が低い。したがって引張試験では変形早期にくびれなどの塑性不安定現象が生じて延性が低い。これまで構造材料の延性とは一般的に引張試験で得られる伸びにより評価されており、超微細結晶材料は延性が低いことが問題とされていきた。本研究課題では、この超微細結晶材料が示す低加工硬化性の性質を逆手にとり、超微細結晶材料が本質的に持つであろう展性に着目し、その定量的な評価と実証実験を行う。これまで二次加工性の指標として評価されてきた延性とは明確に区別する。ここで展性とは金箔のように組織発展が小さい材料にたいして、局部的かつ逐次的な変形により塑性不安定現象を回避する変形モードを選択すれば高い成形性を発現することが可能であると考えられる。2018年度は純銅についてSPD法の一つであるECAP法により結晶粒径が0.2ミクロン程度の超微細結晶銅を作製した。これより圧縮試験片を採取して、室温で圧縮試験を行なった。超微細結晶材料はECAP加工前の粗大粒材に比べて、変形初期の加工効果性が低いことを確認した。粗大粒材は転位密度が増加して、組織発展による加工硬化が進行したものと考えられる。しかし、圧縮試験後半の荷重上昇が著しく、試験を中断するに至った。試験片と試験片固定ホルダーの摩擦に起因するものと考えられ、試験条件の再検討が必要となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ECAP法により超微細結晶銅を作製して、圧縮試験を行なった。
|
Strategy for Future Research Activity |
試験片形状など圧縮試験方法を再検討して、摩擦の影響を排除することにより、応力ひずみ線関係に及ぼす結晶粒超微細化の影響を検討する。結晶粒超微細化により高ひずみ域においても組織発展および加工硬化が低いことを確認して、展性発現の可能性を明らかにする。
|