2019 Fiscal Year Research-status Report
超微細結晶材料の粒界誘起塑性に起因する展性を活用した二次加工性向上
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18K04783
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 元仁 同志社大学, 理工学部, 准教授 (70635309)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二次加工性 / 超微細結晶材料 / 強ひずみ加工法 |
Outline of Annual Research Achievements |
靭性・強度の向上など金属材料に優れた特性を与えるには結晶粒微細化が必要不可欠である。結晶粒微細化の方法として、巨大ひずみ付与法である強ひずみ加工法が注目されているが、結晶粒径が 1μm 以下の超微細粒になると延性が著しく低下してしまう。これは、降伏応力の増大と加工硬化能の低下によって塑性不安定性が早期に達成されてしまうことが原因であり、二次加工性の改善が課題と認識されている。しかし、UFG材料の変形能そのものが失われたわけではなく、例えばナノ結晶銅に対して冷間圧延では700%が報告されている。そこで本研究では超微細結晶材料の圧縮変形能の発現条件と解明と定量的評価方法を明らかにすることを目的としている。 純銅を用いて、UFG材料が強ひずみ加工の1つであるECAP法によって作製し、圧縮試験と引張試験により変形能を比較した。その結果、UFG材料は引張り試験では粗粒材に比べて伸びは低いものの、くびれ後の局部伸びは同等またはそれ以上であった。さらに圧縮変形後では粗粒材に比べて高い変形能示した。ひずみ速度感度指数(m値)を算出した結果、0。067であり、圧縮試験における高い変形能は粒界すべりを伴う熱活性プロセスの影響は少ないと考えられる。圧縮変形下における高い延性能は、超微細組織による均質変形によりボイド形成が抑制された結果と考えられる。このことから圧縮変形条件を最適化することにより高い二次加工性が得られることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円筒を用いた圧縮試験により、破断限界厚さを展性として評価した。粗粒材と比べて遜色ない展性が確認できたが、工具の精度が十分ではなく、測定値として信頼性に課題がのこった。
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Strategy for Future Research Activity |
銅は粗粒材でも延性があるので、超微細化による延性向上の効果の実用的メリットが小さい。そこで、Fe-Cr合金など、強ひずみ加工が可能である一方で、延性が不足材料を使って試験を継続する。 圧縮試験に使用する工具の精度をさらに高めて、薄膜域までの均一な変形が得られるようにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により、年度末の学会および報告会がキャンセルとなった。次年度の9月の国内外の学会の参加予定である。
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Research Products
(1 results)