2018 Fiscal Year Research-status Report
汚染水処理減容化を目指す新規Tripolarイオン交換膜型ED-Rシステムの開発
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18K04804
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70197169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | electrodialysis reversal / radioactive liquid waste / tripolar membrane / EDTA / Sr |
Outline of Annual Research Achievements |
福一原発汚染水処理対策の一環として三菱重工(株)により開発された,ゼオライト吸脱着システムにおいて溶離剤として用いるEDTAの再生を行うプロセスの開発を目的とし,今年度は,EDTA再生工程で産生するCuイオンをリユースするための電気化学反応を伴う電気透析プロセスに関し,各種イオン交換膜を用いて実験を行うことで特性評価を行った。 はじめに,EDTAを再生する際に生じた電極板上の銅を液相の銅イオンに転換する技術に関し,モノポーラー膜を用いて実際の運転のシーケンスを考慮に入れて問題点の抽出を行った。その結果,モノポーラー膜を用いて固相の銅の液相への転換を行った場合には,転換反応は膜面の向きによらず進行するものの,イオン交換膜の選択透過性の影響を受けてカソード室へも一部が透過し,銅イオンの損失が生ることが明らかとなった。 次に,銅イオンのイオン交換膜を介した透過を抑制するために陽イオン交換層上に陰イオン交換基を付与したバイポーラー型のイオン交換膜を用いて特性評価を行った。この場合,モノポーラー型のイオン交換膜で生じた銅イオンのロスという問題はクリアでき,硫酸ナトリウム水溶液は硫酸銅水溶液に転換された。しかし,処理シーケンスを考慮に入れてED-Rの運転を行った場合,槽電圧の上昇,イオン交換膜表面への金属銅の析出など,一部に不具合な点が生じた。 この問題を解決するためにED-R運転時にも正荷電層が常に陽極側を向くようなトリポーラー膜を用いて上記問題の解決に努めた。トリポーラー膜を用いた場合には,イオン交換膜表面に付与した正荷電層により銅イオンの透過が抑制され,ナトリウムと銅イオンの置換が良好に進行した。また,本実験範囲内ではED-R運転を行った場合にも槽電圧の上昇,膜面上への銅の析出等の問題も生じず,トリポーラー膜はシステムを構築する上で十分な性能を発揮できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
30年度は,システムをED-R方式にて運転するための核心をなす技術の確認を行うことができ,1台の装置で2系統の電気化学反応分離が行える目途が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はEDTA-CuからのEDTAの再生と,同処理によって固相に析出したCuからの硫酸銅の生成の2つの電気化学反応行う系で研究を進め,処理条件の最適化と処理シーケンスの確立を目指す予定である。 この他,放射線管理区域外等,遠隔地からの運転支援を目的とし,あらたにIoT技術の適用に関する検討も始める予定である。
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Causes of Carryover |
主に実験装置製作費を圧縮したこと,他の研究テーマとの物品の共用を図り経費の節約に努めたことが主な要因。 2019年度は圧縮した経費を財源とし,あらたに装置加工用機材の整備を検討する予定でいる。
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Research Products
(1 results)