2020 Fiscal Year Research-status Report
汚染水処理減容化を目指す新規Tripolarイオン交換膜型ED-Rシステムの開発
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18K04804
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 博 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (70197169)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Electrodialysis / Electrodialysis reversal / Tri-polar membrane |
Outline of Annual Research Achievements |
福一原発汚染水処理対策の一環として三菱重工(株)により開発された,ゼオライト吸脱着システムにおいて溶離剤として用いるEDTAの再生を行うプロセスの開発を目的とし,今年度は,昨年から引き続き,EDTAーCuからのEDTAの再生と同工程で産生するCuを再び硫酸銅にす再生するための電気化学反応を伴う電気透析プロセスのIoT化による運転支援,さらには,ゼオライト脱着処理後に生じるEDTA-Sr, EDTA-Ca, EDTA-Co, EDTA-Mgなどの溶液から各種金属イオン種を分離する,金属置換反応を伴う電気透析システムの設計と製作を行い,各種実験データの蓄積に努めた。 はじめに昨年から引き続き,実験装置の更なるIoT化の検討を進め,処理によって時々刻々と変化する銅イオンの濃度をオンラインで定量化するシステムの設計と構築を行った。その結果,600 nm以上の赤色域の波長の光を照射可能なLEDと,光照射強度を電流値に変換するフォトダイオードを用いる光吸収システムを設計,製作することで,運転中に時々刻々と変化する銅イオンの生成濃度が非接触にて測定することが可能となり,IoT技術の実装により現場作業の軽減が可能になることが明らかとなった。 次いで,10 室,3 stackからなる金属置換反応用電気透析槽の設計および製作を行うとともに,ゼオライト処理後に溶出する溶液のモデル溶液をEDTA-Sr, EDTA-Co, EDTA-Ca, EDTA-Mgを用いて調製し,前記電気透析槽を用いて金属イオンの分離を行った。その結果,EDTAとの安定度定数の違いにより多少のタイムラグが生じるものの,おおむね良好に金属イオン種がEDTAから分離される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年10月初旬,研究室建屋の天井から実験室に大量の漏水が発生し,研究で使用していた分析装置の大部分,さらには実験装置への激しい降水ならびに浸水の被害が生じた。 事故後,機器の十分な乾燥を経た後,機器の点検等を分析機器メーカー等と進めたものの,分析機器内部への浸水の状況が想像を超えたものであったことから,大部分の分析機器,実験装置等も修理不能の判定が下された。 その後,大学側のご支援,ご協力により,分析機器の新規調達,実験装置の周りの関連機器の調達に関し鋭意検討を進めたものの,建屋の補修工事,分光計測装置類の設置等が完了した時期が21年2月初旬までかかり,結果として約5か月の研究遅れを生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,遅れている金属置換反応を伴う電気透析法によるEDTA-Sr, EDTA-Co, EDTA-Ca, EDTA-Mg からの各種金属類の分離を行うために,被災した各種電気透析装置の設計・製作をあらためて行うと共に,さらなる実験データの蓄積に努める。 また,あわせてED,ED-Rに関する操作条件と分離能との関係を明らかにし,両装置から構成されるシステムの最適化について検討を行う。
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Causes of Carryover |
使用機器の被災状況が明らかになるまで,かなりの日数を有したことから,予算執行に大きな影響を与えた。その後,小型汎用分析機器(pHメータ,電気伝導度計,イオンメーター他),実験用電源装置,さらには電気系計測器等の被災状況が明らかになったことから,これらの機器に関する調達を優先的に進めることで,効果的な予算執行に努める。
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Research Products
(1 results)