2019 Fiscal Year Research-status Report
Semi-wet collection of aerosol particles having sizes in difficulty for high efficiency collection by controlling particle surface conditions
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18K04806
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
塚田 まゆみ 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術職員 (70376870)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エアロゾル / 微粒子捕集 / 排出抑制 / 荷電粒子 / 粒子表面制御 / 気泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来法では捕集効率の低いサブミクロンからナノ領域の粒子径をもつ、幅広い特性(溶解性、親・疎水性、導電性、形状など)の粒子を、捕集液に高効率に捕集する新規法を実験室レベルで確立することを目的とする。第2年度である本年度は、前年度に構成した粒子発生装置、捕集装置、粒子径分布および粒子個数濃度計測装置からなるシステムと塩化ナトリウムモデル粒子で得られた知見から、微細な気泡を発生させるシステムをもつような捕集系への改良のための考察を行った。すなわち、昨年度の実験系では気泡径がミリメートルオーダーと大きいと気泡の体積に対する表面積の割合が小さく、粒子の帯電と気泡界面の帯電による静電引力が小さいため推進力が不十分になったものと考えられる。そこで微細な気泡の発生を伴うシステムを検討する一環として、超音波で発生させた微細気泡と、エアロゾルに起因した微小粒子が付着した基板との相互作用を考察し、基板から粒子除去能力を調べた際、超音波媒体液(=捕集液)の種類(水や界面活性剤溶液)ばかりでなく、液中の懸濁粒子が微細気泡発生や除去性能に影響を及ぼし、粒子除去率(粒子を捕集液に取り込む性能)を向上させる結果が得られていたことを、今回のシステムに応用することに注目した。また同時に、微粒子の付着力に関する基礎的な知見を深めた。微細気泡により、100 nm前後の粒子の捕集効率の大幅な向上が期待されるため、次年度は微細気泡にさらに着目し、電場を付加した気泡帯電により捕集力が強化された捕集システムの構築をはかる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画では、研究期間3か年にわたって、(1) 気中に浮遊するエアロゾルのモデル粒子を選定し、粒子発生装置(発生後粒子の帯電部を含む)、インピンジャー方式の捕集装置、粒子径分布および粒子個数濃度計測装置から構成されるシステムを組み立てる。(2) 粒子側のパラメーターとして、粒子サイズならびに粒子の水溶性・不溶性(例えば塩化ナトリウムとポリマー粒子)と親水性・疎水性(例えばシリカとカーボン粒子)を、(3) 捕集条件として、気泡のサイズおよび気泡の個数や捕集液の種類(純水や低い表面張力をもつ液体)を変化させる。並行して、(4) 捕集装置内の物理モデルに基づく数値シミュレーションを行い、装置構造や運転条件の最適化を行う、ことによって、従来捕集困難とされてきた、サブミクロンからナノ領域の粒子径をもつ気中粒子を高効率で捕集することを達成目標としている。 そのうち、(1)では基本構成は組み上がり、改良方針が打ち立てられ、(2)では水溶性粒子例の塩化ナトリウムについて、液組成や帯電気泡の粒子捕集効率への影響を調べることができたことに加え、 不溶性のシリカや酸化マグネシウム粒子の捕集液への取り込みが調べられた。(3)では超音波により発生させた気泡と微粒子の親和性が詳細に調べられたことに加え、液中懸濁粒子が影響をもつ可能性が示唆された。そのため、上記区分と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画のうち、(2)粒子側の条件として、疎水性粒子の捕集に関する検討が不十分なので実施する。また、(3) 微小気泡を発生する部分を捕集システムに組み込む。(4)捕集装置内の物理モデルに基づく数値シミュレーションについては、未着手だったため、シミュレーションソフト(COMSOL)によりモデル化し、液体内の気泡の形成と帯電気泡の微粒子捕集性能に関する数値計算を行う。(4)で得られた実験結果と数値計算の結果を比較して、装置の設計に反映させ、装置改良による高効率捕集の達成の可能性の検討と新しい液体捕集システムの構築をはかる。並行して、高い粒子捕集効率を得る条件に関する一般化された知見を見出すように考察を進める。
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Causes of Carryover |
本年度新たに既存データを考察して使用検討した実験システムは、すでに組み上がっていたものであったため、経費がかからなかった。これまでの実験では、部品類の多くを既存品の組み合わせでまかなってきたが、超音波等により微細な気泡を発生されるシステムを捕集システムに組み込むため新たに、追加部品(チャンバーや配管接手、フィルターなど)が多量に必要になる。追加実験のための試薬やガス、さらに、エアロゾル測定のための既存機器のメンテナンスや分析費用、実験強化のための学生アルバイト、成果公表のための学会参加費用や論文の英文校正と、次年度には本格的な支出を見込んでいる。
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