2020 Fiscal Year Research-status Report
Semi-wet collection of aerosol particles having sizes in difficulty for high efficiency collection by controlling particle surface conditions
Project/Area Number |
18K04806
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
塚田 まゆみ 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術職員 (70376870)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エアロゾル / 微粒子捕集 / 排出抑制 / 荷電粒子 / 粒子表面制御 / 気泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来法では捕集効率の低いサブミクロンからナノ領域の粒子径をもつ、幅広い特性(溶解性、親・疎水性、導電性、形状など)の粒子を、捕集液に高効率に捕集する新規法を実験室レベルで確立することを目的とする。第3年度である本年度は、本来ならば最終年度であったが、実験作業が実施できる時間の制約から、研究が大幅に遅れることが年度始めから予想されたため、研究期間を延長することも視野に入れ、これまでの成果に対する補足と文献調査を行った。具体的には前年度に引き続き、超音波を微粒子懸濁液に印加させた系に対し、粒子径分布を見直し、雑誌論文を出版させた。また、文献調査により、本研究の着想に至るきっかけの一部であった湿式の電気集じん機が、中国をはじめとする石炭火力発電からの排ガスの高度浄化システムにすでに多く組み込まれており、微粒子排出挙動の解明も、煙道内ですでに粒子化しているPM2.5に加え、煙突からの排出後に粒子化する凝縮性PM2.5に注目が進んでいることが判明した。石炭エネルギーからの転換の必要性、および、生物微粒子の室内外の流動挙動の解明の必要性から、本研究においても、応用範囲の再構築を意識した。実際には、前年度までに構成した粒子発生装置、捕集装置、粒子径分布および粒子個数濃度計測装置からなるシステムにおいて、超音波噴霧式粒子発生部に改良を加えた。今後、捕集系として、微細気泡の電場を付加した帯電により捕集力を強化した捕集システムの構築を進め、研究をまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画では、研究期間3か年にわたって、(1) 気中に浮遊するエアロゾルのモデル粒子を選定し、粒子発生装置(発生後粒子の帯電部を含む)、インピンジャー方式の捕集装置、粒子径分布および粒子個数濃度計測装置から構成されるシステムを組み立てる。(2) 粒子側のパラメーターとして、粒子サイズならびに粒子の水溶性・不溶性(例えば塩化ナトリウムとポリマー粒子)と親水性・疎水性(例えばシリカとカーボン粒子)を、(3) 捕集条件として、気泡のサイズおよび気泡の個数や捕集液の種類(純水や低い表面張力をもつ液体)を変化させる。並行して、(4) 捕集装置内の物理モデルに基づく数値シミュレーションを行い、装置構造や運転条件の最適化を行う、ことによって、従来捕集困難とされてきた、サブミクロンからナノ領域の粒子径をもつ気中粒子を高効率で捕集することを達成目標としている。そのうち、前年度までに(1)では基本構成は組み上がり、改良方針が打ち立てられ、(2)では水溶性粒子例の塩化ナトリウムについて、液組成や帯電気泡の粒子捕集効率への影響を調べることができたことに加え、 不溶性のシリカや酸化マグネシウム粒子の固体面から捕集液への取り込みが調べらていた。(3)で調べた超音波により発生させた気泡と微粒子の親和性について、液中懸濁粒子が影響をもった点について、本年度はさらに考察を加えた。本年度は本来ならば最終年度として、(4)を含めた総括を行う予定であったが、次年度に見送った。そのため、上記区分と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画のうち、(2)粒子側の条件として、疎水性粒子の捕集に関する検討が不十分なので、実施する。また、(3) 微小気泡を発生する部分を捕集システムに組み込む。(4)捕集装置内の物理モデルに基づく数値シミュレーションについては、未着手だったため、シミュレーションソフト(COMSOL)によりモデル化し、液中の気泡の形成と帯電気泡の微粒子捕集性能に関する数値計算を行う。(4)で得られた実験結果と数値計算の結果を比較して、装置の設計に反映させ、装置改良による高効率捕集の達成の可能性の検討と新しい液体捕集システムの構築をはかる。並行して、高い粒子捕集効率を得る条件に関する一般化された知見を見出すように考察を進める。なお、捕集効率の向上をめざす、エアロゾルの粒子濃度に関し、当初は、より高めの濃度(燃焼排ガス中の濃度)までをカバーすることを目的としていたが、一般的な室内環境など低めの濃度に、より重点を置くよう考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は超音波等により微細な気泡を発生されるシステムを捕集システムに組み込むため、追加部品(気泡発生部、チャンバーや配管接手、フィルターなど)が多く必要で、追加実験のための試薬やガス、さらに、エアロゾル測定のための既存機器のメンテナンスや試料分析費用、実験強化のための学生アルバイト、成果公表のための学会参加費用や論文の英文校正を見込んでいたが、次年度実施として見送ったため、それらの支出を行う。
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