2019 Fiscal Year Research-status Report
糖類を原料としたカーボン膜の作製とガス分離への応用
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18K04807
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 敏宏 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20518287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水熱処理 / 非対称膜 / ガス透過率 / ガス選択率 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、アルミナ担体上にカーボン膜を成膜するプロセスの構築に取り組み、カーボン膜の成膜に成功した。一方、物性の面では、まだまだ改善の余地が見られた。特に、ガス透過率と分離性能の指標であるガス選択率が低かったことから、ピンホールの生成を抑制しつつ、膜圧を薄くする必要があることが示唆された。本年度は、この問題に取り組むため、作製した膜の分析と改善方法の検討を行った。まず、昨年度作製したカーボン膜をEPMAによる組成分析やXPSの表面分析で膜厚と微構造を評価した。その結果、アルミナ担体上に緻密なカーボン膜が成膜されていると同時に、アルミナ担体内部にもカーボンが染み込んでいることがわかった。そこで、カーボンの染み込みを抑制するため、アルミナ担体とカーボン膜の間に中間層を導入することを検討した。中間層は、化学組成、粒子サイズ、粒子形状の3つ観点からそれぞれ複数の候補を選定した。また、ディップコート法、スピンコート法など成膜方法を検討し、その成膜条件の最適化を行った。以上の検討結果から、中間層にベーマイトを、成膜法をディップコート法と結論づけた。中間層を導入して、カーボン膜を成膜したところ、カーボンのアルミナ担体内への染み込みを大幅に低減することに成功した。この結果、本年度作製したカーボン膜の水素ガス透過率は昨年度作製したカーボン膜の約10倍に向上した。また、H2/SF6ガス選択率が約3倍上昇したことから、ピンホールの生成も抑制できていることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究で、新たな検討項目として洗い出された問題に取り組み、性能の向上に成功した。また、水熱法によるカーボン膜作製の学理を構築しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したカーボンを分光学的分析手法を用いて、局所構造を解析する。また、その結果とガス分離能を対応付ける。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通り予算を執行したが、参加した学会が新型コロナウイルスの問題で中止になったため、旅費を使用しなかったがやや次年度に繰り越された。当該助成金は、次年度の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)