2020 Fiscal Year Research-status Report
糖類を原料としたカーボン膜の作製とガス分離への応用
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18K04807
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
磯部 敏宏 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20518287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非対称膜 / ガス透過率 / ガス選択率 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、本研究の検討項目である①原料となる糖類の種類、②糖類の濃度、③水熱反応の温度条件や時間条件の3項目を一通り検討した。さらに、中間層の導入を検討し、物性の向上に成功した。本年度は、上記の検討結果を再度見直し、不足している実験データの収集に取り組んだ。アルミナ担体上にアモルファスカーボンを成膜する場合、単糖類のうち0.5 mol/Lのグルコースが最も適していることがわかった。また、水熱条件を検討したところ、200℃より低い温度ではグルコースが完全に炭化せず、ピンホールの多い膜となるが、200℃以上ではピンホールがほとんど見られなかった。次に、水熱処理温度を200℃に固定し、水熱時間の影響を検討した。その結果、5時間より短い場合や7時間以上でピンホールが見られ、5時間でもっともピンホールが少なかった。本研究では、アルミナ担体上にアモルファスカーボンを成膜することを想定して研究を開始したが、0.5 mol/Lのグルコースを200℃で5時間の水熱条件で処理すると、アルミナ担体の内部までカーボンが析出しており、ガス透過率が低下することが分かった。アルミナ担体上に中間層を成膜した後に、同条件で水熱処理すると、アルミナ担体の内部のカーボンの析出が抑制できた。中間層を用いる場合についても、水熱処理条件を検討したが、中間層を用いない場合と同一の条件が最適とわかった。以上のことから、本研究では、最適なアモルファスカーボンの成膜条件は、①原料となる糖類の種類:グルコースで、②糖類の濃度:0.5 mol/L、③水熱反応の温度条件や時間条件:200℃、5時間とわかった。 また、本材料が耐水性に優れることから、ガス分離膜の応用技術である膜蒸留法への応用を簡易的に評価したところ、わずかながら、汚水の処理にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定した検討項目をすべて検討し、最適な条件を見つけることができ、さらに膜蒸留法への応用を検討できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本方法で合成したアモルファスカーボン膜は、耐水性に優れることから、水浄化等への応用を検討する。本研究でも、一部検討したところ、わずかながら、イオン含む水を膜蒸留することができたことから、さらに発展の可能性があると考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により、参加を予定していた学会が延期となったため。当該学会は2021年12月に開催にされることが決まり、1年延長することとなった。
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