2021 Fiscal Year Annual Research Report
In situ spectroscopic observation of formation of photoluminescent nanocarbon and development of continuous synthesis
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18K04808
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
比江嶋 祐介 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (10415789)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノカーボン / 水熱合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、質量分析法を利用して赤色発光ナノカーボンの構造解析を行った。まず、熱分解GC-MSによる測定を試みたがガス化効率またはイオン化効率が悪くターゲット分子の検出ができなかった。また、MALDI測定を行ったがイオン化しないことがわかった。そこで、熱分解装置により事前に低分子化を行い、MALDI-FT-ICR MSにより分析を行ったところ、分子量114および169のユニットが存在することがわかった。またこれらのユニットはそれぞれ、原料であるカテコール由来とフェニレンジアミンの二量体に帰属することが推定された。また、末端には水酸基およびメトキシ基が存在することがわかった。 これまでの分析結果から、赤色発光ナノカーボンの生成過程として以下の反応機構が考えられる。まず、o-フェニレンジアミンとカテコールが縮重合して高分子状の前駆体を形成し、この前駆体は緑色の発光を示す。その後、水などの低分子化合物が脱離して、直径5-10 nm程度のナノ粒子が生成するが、その際に赤色発光を示す発光原子団が形成されると考えられる。さらに反応が進行すると、窒素原子が環化するなどしてピリジン様の多環構造を形成するが、赤色発光は徐々に失われる。 本研究成果により、青・緑・赤の三原色を発光ナノカーボンで実現することが可能となり、ディスプレイ等のカラー表示への応用が期待される。また、本手法は流通式反応器への展開が容易であり、反応温度や滞留時間による反応制御や大量合成も容易であると考えられる。
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