2018 Fiscal Year Research-status Report
金属有機構造体UiO-66への官能基導入による新規分離膜の開発
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18K04810
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮本 学 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60538180)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膜分離 / Metal Organic Framework / UiO-66 / CO2分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属有機構造体(Metal organic framework,MOF)の中でも化学的安定性に優れたUiO-66を用いた分離膜の開発において、膜性能向上を目的にUiO-66への官能基導入効果を検討した。UiO-66への官能基の導入は、予め官能基を導入した有機配位子を用いたin situ合成による製膜を試みた。 1.アミノ基導入UiO-66膜 アミノ基を導入したUiO-66(UiO-66-NH2)の合成は、有機配位子をテレフタル酸から2-アミノテレフタル酸へと変更することで実施した。UiO-66-NH2膜は、多孔質α-アルミナ管を支持体とし、二次成長法により製膜した。まず、種結晶をディップコートにより支持体に担持し、その後、ソルボサーマル合成を繰り返すことによりUiO-66-NH2膜を得た。得られた膜の膜性能を単成分ガス透過試験により評価したところ、H2/N2透過係数比はKnudsen拡散支配における理論値を超えており、欠陥の少ない膜が合成できたことを確認した。また、CO2/N2透過係数比はCO2選択的であり、CO2分離膜として応用できることが示唆された。そこで、CO2/N2=50/50の二成分系ガスの分離を試みたところ、単成分の結果を大きく越えるCO2選択性を示した。 2.カルボキシル基導入UiO-66(UiO-66-(COOH)2)膜 有機配位子をテレフタル酸からピロメリット酸に変更し、UiO-66膜へのカルボキシル基の導入を試みた。UiO-66-(COOH)2は、UiO-66やUiO-66-NH2と同様の合成方法では結晶性が低くなるため、合成方法を種々検討した。支持体をZr源水溶液に浸漬し、その後、酢酸を溶媒としたピロメリット酸溶液を用いてソルボサーマル合成することで、支持体表面にUiO-66-(COOH)2が選択的に生成することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ基を導入したUiO-66-NH2膜の合成に成功し、優れたCO2分離性能を示すことを実証した。また、カルボキシル基を導入したUiO-66-(COOH)2膜についても未だ欠陥はあるものの、製膜可能であることを確認した。以上のことから、計画は概ね順調に進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
UiO-66-NH2膜については、CO2分離における水蒸気の影響や耐久性評価を進めるとともに、浸透気化など他の分離系への応用を進める。UiO-66-(COOH)2膜については、欠陥制御を目的として二次成長法を用いた合成条件の最適化を実施する。 UiO-66への官能基の導入方法について、in-situ法に加え、Postsynthesis法についても検討する。具体的には、UiO-66の結晶粉末を用いのZrクラスターに存在するOH基や、配位欠陥により生じるOH基に対し、カップリング剤等を用いた合成後修飾を実施する。合成後処理による官能基導入の可否と、吸着性能におよぼす影響を評価する。
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Causes of Carryover |
当初計画ではガス透過試験装置の新設を目的として、ガスクロマトグラフの購入を予定していたが、既存設備のアップグレードで対応可能であることが判明したため、購入を見合わせた。それに代えて次年度では、ポストシンセシス法によるUiO-66への官能基導入評価を目的に、吸着装置の拡張を計画している。
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