2018 Fiscal Year Research-status Report
擬似移動層を用いた複数の反応プロセスの同時化によるバイオディーゼルの高効率合成
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18K04829
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
福村 卓也 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 准教授 (50360326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和久 一関工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30215769)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 擬似移動層 / 反応分離 / バイオディーゼル / グリセリン / アセタール化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、反応と分離を同時に行うことができる擬似移動層型クロマト反応器を用いて、可逆エステル交換反応であるトリグリセリドからのバイオディーゼル合成反応を効率化することを目的としている。通常の充填層型反応器でバイオディーゼル合成反応を行うと、副生成物であるグリセリンが生成し所望のエステル交換反応を阻害するが、擬似移動層型クロマト反応器を用いるとグリセリンがクロマトグラフィーの効果で反応場から分離されるため可逆反応が正反応側、すなわちバイオディーゼルの生成反応側へとシフトする。本研究では、さらにこのグリセリンも同時に反応器内でアセトンとのアセタール化反応によりソルケタールへと変換することで反応のさらなる高効率化が図れるとともに、グリセリンの有用物質への変換が行えることが特長である。 初年度は、回分反応器を用いた水素型イオン交換樹脂Amberlyst 16WETを触媒とするトリグリセリドからのバイオディーゼル合成反応を行って、エステル交換反応挙動を把握するとともに、同触媒を充填した擬似移動層型クロマト反応器を用いたグリセリンとアセトンからのソルケタール合成反応プロセスの構築を行った。このうち、ソルケタール合成反応プロセス構築に関する検討では、移動論数学モデルを構築して擬似移動層型クロマト反応器内でのアセタール化反応挙動をシミュレートし、さらに数値計算に基づく条件で実際に反応分離実験を行ったところ、充填層型反応器と比較して高効率かつ連続的にグリセリンをソルケタールに変換することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)充填層型反応器を用いたトリグリセリドからのジグリセリドあるいはモノグリセリドの合成、2)擬似移動層型クロマト反応器を用いたグリセリドからのバイオディーゼルとグリセリンの合成とそれら生成物の分離、3)同じく擬似移動層型クロマト反応器を用いたグリセリンとアセトンからのソルケタールの合成、の大きく3つのテーマからなる。 3)については、当初の予定どおり、移動論数学モデルによる反応挙動の数値解析と実際の実験での実証を完了した。2)については、水素型イオン交換樹脂Amberlyst 16WETを触媒とし、モデル反応物としてトリカプリリンとエタノールを用いた回分エステル交換反応実験を行った。トリカプリリンの脂肪酸残基は通常のオレイン酸などの脂肪酸よりも短いため、ある程度の反応速度が得られると考えたが、反応速度は低かった。ジオレインやジカプリリンなどのジグリセリドを反応物としたエステル交換反応実験も行ったが、トリカプリリンの場合と同じく十分な反応速度は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本反応であるグリセリドからのバイオディーゼル合成をまず確立するために、反応物としてモノカプリリンやモノオレインなどのモノグリセリド類を用いることを検討する。また、回分反応系ではなく、充填層型反応器を用いた破過応答実験を行って、その反応挙動の解析を行うこととする。バイオディーゼル合成反応を行う場合、固体塩基触媒が固体酸触媒よりも著しく反応速度が速いが、触媒は変えずにAmberlyst 16WETを用いることとし、エステル交換反応の反応分離に関する方法論の確立を優先させる。また、擬似移動層型クロマト反応器には、RaffinateとExtractの2つの出口が存在するが、その間の反応分離場を長くした反応器を新たに設計・製作し、モノグリセリドからのバイオディーゼル合成反応について実際に実験的検討を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
モデルバイオディーゼル合成反応として、水素型イオン交換樹脂触媒を用いたトリカプリリンとエタノールのエステル交換反応を考えていたが反応速度が遅く、種々の条件での実験が行えなかったため、当初の予定よりも研究の進捗が遅れた。これに付随して次善のモデル反応系を検討する時間が長くなった結果、2019年度への繰り越し残額が生じた。2019年度は、2018年度の使用額と合わせて、モノグリセリド類を反応物としたエステル交換反応をモデル反応系として採用し、擬似移動層反応器内でのエステル交換反応とアセタール化反応の2つの可逆反応の同時化に関する方法論の確立に主眼を置き研究を進める。
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Research Products
(2 results)