2018 Fiscal Year Research-status Report
液相での原子層堆積(ALD)技術による固体触媒の界面機能制御
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18K04832
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
荻原 仁志 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60452009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸化物ナノレイヤー / 触媒調製 / 原子層堆積法 / ナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
液相での原子層堆積法技術を確立するために,初年度では基礎的な知見の収集に努めた。堆積する酸化物としてSiO2に着目し,ナノカーボンへSiO2ナノレイヤーを被覆した。前駆体としてSiCl4を用い,溶媒の種類を検討した。溶媒の種類によって,SiO2層の形成過程が大きく変化した。溶媒の極性等によってナノカーボンへの濡れ性が変化したために,SiO2層の堆積挙動に影響を与えたと考えられる。 液相での原子層堆積法では,溶媒と前駆体を含む溶液をナノカーボンに浸漬し,溶媒乾燥によって前駆体をナノカーボン表面へ均一に集積する。SiCl4のように加水分解性が高い物質では,ナノカーボン表面に吸着した後に空気中の水蒸気によって加水分解され,酸化物層を形成する。つまりこのメカニズムでは,加水分解性が低い前駆体は酸化物層を形成できない。しかし,SiCl4は腐食性が強く,さらに加水分解時に有害な塩化水素を発生する。したがってより穏和な前駆体を利用できると好ましいと考え,SiCl4より安定性が高いオルトケイ酸エチル(TEOS)をSiO2層の前駆体に用いた。TEOSは加水分解性が低いため,これまでの条件ではナノカーボン上にSiO2層を形成することはできなかったが,溶液の組成を調整することで,TEOSを用いてもナノカーボン上にSiO2ナノレイヤーを形成できることが明らかとなった。 SiO2ナノレイヤーに金属成分を組み込んだ新規な触媒材料の合成についても進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液相での原子層堆積法における基礎的な合成技術を確立した。加えて,ゾル-ゲル法でしばしば用いられるTEOSを前駆体に使っても原子層堆積が可能であることが明らかとなった。使用できる前駆体の種類にバリエーションをもたせることができ,新規触媒材料合成に向けての技術が確立できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
液相での原子層堆積法を触媒材料合成に適用する。酸化物層への金属成分の包埋,あるいは複合材料への展開などを視野に入れて,触媒として機能する材料を合成する。
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