2018 Fiscal Year Research-status Report
Control of edge structures on nano carbon materials
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18K04833
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 泰弘 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (90546780)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 構造制御 / 炭素材料 / 赤外分光分析 / X線光電子分光分析 / ラマン分光分析 / 反応分子動力学計算 / 密度汎関数法 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンなどのナノ炭素材料材料の特性の飛躍的向上には、エッジやヘテロ元素などの種々の欠陥導入が必要不可欠である。しかし既存の導入法では、複数種の欠陥が導入され構造が複雑化してしまい、構造と特性の関係が不明確であった。本研究では、エッジ構造の異なるナノ炭素材料の合成を目指し、ジグザグエッジやアームチェアエッジ、ジグザグライクエッジなどを含む芳香族化合物の原料を加熱し、構造制御状態を数値化する方法を開発した。特に赤外分光分析はこれまで炭素材料のエッジの構造解析にはほとんど利用されてこなかったが、簡単な分析でデータが得られる赤外分光分析におけるC-H面外変角振動とC-H伸縮振動とを組み合わせることによりエッジ構造を既存の方法より高精度に数値化することに成功した。また、6員環に加えて5員環を含む芳香族化合物も測定し、5員環を含む炭素材料の構造解析にも応用できる分析技術を確立した。さらに元素分析や反応分子動力学計算、ラマン分光分析と密度汎関数法によるスペクトル計算を合わせて解析することにより、エッジ構造を多角的分析により詳細に解析することに成功した。ジグザグエッジやアームチェアエッジを含む炭素材料においては、酸素との反応性にも違いが明確に表れ、反応性からも異なるエッジ状態の炭素材料が調製できることを示した。本研究成果は、Y. Yamada, M. Kawai, et al, ACS Appl. Mater. Interfaces, 10 (2018) 40710-40739や、T. Sasaki, Y. Yamada et al., Anal. Chem. 90 (2018), 10724-10731に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究に関係する赤外分光分析による構造解析技術の確立を行った。この成果によりこれまで行われていなかった精度でナノカーボン材料のエッジ構造を容易に数値化することができるようになった。また、赤外分光分析やラマン分光分析と反応動力学計算を組合わせて炭素材料の構造解析の精度を大幅に向上した。これらの研究成果は、論文として2報発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素材料の構造制御状態をより高められるように、今後は反応分子動力学計算を用いて予想される原料候補を厳選し、構造制御される理由も同時に計算結果から推定する。またこれまでの本研究の成果ではヘテロ元素が含まれていなかったが、今後はヘテロ元素を含めた構造制御の研究を進める。次に、この計算により厳選された原料で炭素材料を実際に合成し、それぞれのエッジ構造に対応した赤外分光分析のsp2C-H変角や伸縮振動のピーク面積や、X線光電子分光分析のN1sスペクトルのピーク位置と面積から、構造制御状態を数値化する。これらの数値を比較することで、構造制御に求められる原料構造の必要条件を明確化し、今後の原料選択のための基礎データを蓄積する。研究計画の変更や研究を遂行する上での課題等は現在のところ特に無く、順調に研究が進展している。
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Research Products
(6 results)