2018 Fiscal Year Research-status Report
水素を選択的に活性化し低温でアンモニアを生成するナノ反応場分離触媒の研究
Project/Area Number |
18K04834
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮尾 敏広 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90312090)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アンモニア合成触媒 / 水素選択活性化 / 低温低圧アンモニア合成 / モリブデン触媒 / タングステン触媒 / レニウム触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水素の選択的活性化機能によって低温で高活性・高収率を実現するアンモニア合成触媒を開発することを目的としている。現在のアンモニア合成プロセスでは、反応の律速段階である窒素分子の解離がほど良く進むFeやRu等の元素が実用触媒の主成分として用いられており、そこでは反応速度を上げるために熱力学的平衡で不利な高温運転が必要とされ、一段でのアンモニア収率が低下する問題がある。本研究では、従来とは全く異なる発想により水素の吸着・解離サイトと窒素の吸着・解離サイトを同一触媒表面上で分子オーダーの空間分離を施すことによって、窒素解離能が非常に高くこれまで窒素被毒によってアンモニア合成に用いられなかった元素を触媒として適用する。 H30年度の検討では、まずアンモニア合成基礎試験の環境を整えるために、原料となる窒素水素混合ガスを準備し、これを四重極質量分析計を備えた既存の常圧流通式触媒反応装置を用いて触媒の基礎試験を行うこととした。 従来の高温低圧アンモニア合成で実績のあるルテニウムを比較触媒として、これに担持モリブデン、タングステンおよびニッケル、レニウム触媒をそれぞれ合成し活性の比較を行った。担体にはαアルミナを用い、担持はすべて通常の湿式含浸法で行った。 シリカ被覆の無い触媒の場合、ルテニウム触媒以外はアンモニアの生成が見られなかった。しかしメソポーラスシリカで試験的に被覆を行ったモリブデン触媒の場合、アンモニアの僅かな生成が認められたことから、本研究の基本コンセプトである水素の選択活性化サイトの低温アンモニア合成への寄与の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の装置を有効活用することによって、触媒のスクリーニングをプロジェクト開始時から円滑に進めることができた。また当初の研究計画通り、モリブデン、タングステン、レニウム触媒を合成しこれらの活性を従来触媒のルテニウムと比較検討し、さらに本研究の主眼とするメソポーラスシリカ被覆の効果に関して重要な知見を示唆する結果を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の所、メソポーラスシリカ被覆モリブデン系触媒で常圧においてもアンモニア合成活性が発現することを見出した。今後は他元素を含めた更なる触媒スクリーニングに加え、モリブデン系触媒においてはその還元温度、窒化処理、炭化処理、およびメソポーラスシリカ被覆条件を検討し活性の向上を目指す。また分光学的検討を並行して進めることによって、本研究の基本コンセプトの妥当性を検証する。
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Causes of Carryover |
本科研研究プロジェクトの申請当初に予定した触媒反応装置製作は、初年度は交付額に応じて既存装置を充てることとした。また触媒調製等に用いた装置等も既存品を一部活用した。R1年度はH30年度の結果を受けて、研究促進のための既存装置の改造等が必要となるため、発生した次年度使用額を適正に充てることとした。
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Research Products
(1 results)