2020 Fiscal Year Research-status Report
高いCO2メタン化活性を有する低結晶ルテニウム金属ナノレイヤー触媒の創成
Project/Area Number |
18K04835
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 勝俊 京都大学, 実験と理論計算科学のインタープレイによる触媒・電池の元素戦略研究拠点ユニット, 特定講師 (30586607)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 二酸化炭素 / ルテニウム / 水素化 / 資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2排出量削減の有望な手段として,CO2メタン化プロセスが注目されている.しかし,現在使用されている触媒は低温域における活性が不十分であり,高いメタン収率を実現する反応プロセスが確立されていない.本研究では,申請者が開発した「低結晶性ルテニウムナノレイヤー」をコア技術とし,CO2メタン化の反応中間体を高効率に捕捉・活性化する活性点構造を構築する.これにより,CO2を低温で高効率にメタン化させることができる高活性な触媒の創成を目指す.R02年度はH31年度の知見をもとにCe-Zr系を中心に複合希土類酸化物を担体に用いた担持Ru触媒を種々の手法で調製し,メタン化活性を評価した.その結果,触媒の調製プロセスを低温化することによって低温域における触媒性能を大きく伸ばすことに成功した.さらに調製した触媒を使用して,メタン化以外の水素化反応についても取り組んだ.一方で予定した実験,測定のうち特に外部の大型施設を利用するものについてはCOVID-19感染拡大の影響もあり一部を実施することが出来なかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までにメタン化反応に対する有用性を確認したCe-Zr系希土類複合酸化物に注目し,活性化処理(還元処理)の温度が触媒に与える影響について検討を行った.特に,昨年度実施した電子顕微鏡観察の結果を参考に,触媒表面に微細で結晶性の低いRuのナノ粒子を形成することで,低温域でのメタン化活性を更に向上させることを目指し,触媒調製プロセスの低温化に取り組んだ.その結果,担体の焼成温度を抑えることで担持体の比表面積を大幅に向上させ,活性化処理後の比表面積も大きく保つことができることが明らかになった.この様なプロセスによって調製した触媒は,従来法によって調製した触媒と比べて低温での還元処理後でも優れたメタン化活性を示すことが明らかになった.一方,還元処理を一定温度以上で行うとRuの焼結が顕著に進行し,触媒活性が大きく低下することも見出した.ナノ粒子状Ruを微細かつ結晶性の低い状態で担持することが高活性発現の鍵であると考えられる.そこで,いくつかの手法を用いてRuを担持し,Ruの担持状態が活性に与える影響を比較した.その結果,ある種の特徴的な手法でRuを担持することで,低温域における触媒活性がさらに向上することが明らかになった.後述する触媒解析の遅れの影響でその理由と作用機構は十分に明らかになっていないが,Ruの担持状態の変化によって担体の相互作用が最適化されたことが理由の一つでは無いかと考えている.このほか,調製した担持Ru触媒を種々の水素化反応に適用することも試みた. 本年度は計画の最終年度にあたり,外部の大型施設,装置等を用いた分析を実施する予定であったが,COVID-19感染拡大の影響でこれらの利用等が制限された結果,予定の実験の一部を実施することが出来なかった.また,ラボレベルの分析についても実験活動制限等の影響で計画の一部を変更せざるを得なかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
特に分析関係の進捗の遅れ研究計画の延長を申請した.今後は,COVID-19感染再拡大等による再度の実験制限等を考慮しつつ,代替手段の導入を検討しながら,開発した触媒の分析を進める.CO2メタン化触媒の活性因子を特定し,確立した触媒調製プロトコルの優位性や,その作用機構を明らかにすることで,当初目標の達成を目指す.
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で予定の実験が一部実施できず,成果をまとめるに至らなかった.次年度使用額はおもに外部施設,装置の使用料,そのための経費,論文作成費用にあてる予定であり.延長期間中に当初計画の目標を達成を目指すとともに,成果の外部発表を強化する.
|